玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

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館蔵資料の紹介 2016年

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子供遊勇当独楽(こどもあそびいさむあてごま)

子供遊勇当独楽(こどもあそびいさむあてごま)

作者不詳 木版色刷2枚続
縦34.3×横47.2cm 1868(慶応4)年頃

今月はお正月の遊びである独楽を題材にした錦絵を紹介する。この絵では子供たちが楽しそうに当独楽をしているのが分かる。当独楽とは互いの独楽をまわし、はじかれて倒れたら負けという勝負の遊びである。当独楽の遊びが発生したのは天保年間のことといわれる。

独楽遊びは奈良時代には寺や神社の余興として催されたといわれているが、江戸時代以降は庶民の遊びとして普及した。

資料では独楽遊びを通して、幕末の政治状況を風刺している。向かって右側が新政府軍を表しており、幼児は明治天皇を、「サ」の字柄のかすりや萩文様の羽織は、それぞれ薩摩藩、長州藩を意味している。向かって左側で独楽をまわすのが旧幕府軍の庄内藩、会津藩などの諸藩である。また、勝負の成り行きを見つめている中央の子供は徳川慶喜を表す。

子供の遊びになぞらえて政治を批評する風刺画は、幕末から明治初期にかけてさかんに制作された。流通したのは主として江戸などの大都市で、購入者の批判精神や知的好奇心もかなり高かったことが推測される。

「全人」2016年1月号(No.801)より

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