玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2021年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2021年 > L.v.ベートーヴェン作曲《7つのバガテル》Op.33

L.v.ベートーヴェン作曲《7つのバガテル》Op.33

L.v.ベートーヴェン作曲《7つのバガテル》Op.33

紙、インク 縦24.1×横32.9㎝
ベルリン:J.J.Hummel社 19ページ
1803−1805年頃(プレート番号1318)
「ガスパール・カサド 原智恵子コレクション」所収

バガテル“Bagatelle”は、特定の形式を持たない小品の楽曲を指す。語源はフランス語で、「ささいなこと」を意味する。この曲は1802年に完成し、翌年にはウィーンやフランクフルトなどで出版された。ベートーヴェン(1770‐1827)の初期印刷楽譜である本資料は、初版から間もなくベルリンでも出版された。この頃の楽譜の出版年代を特定するひとつには、楽譜下部に記されているプレート番号から推測する方法がある。
ベートーヴェンは、1802年の春から秋にかけて、その数年前から悩まされていた難聴の療養を兼ねてハイリゲンシュタット村に滞在していた。音楽家にとって、耳が聴こえにくくなるのは致命的である。「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる手紙が書かれた同時期に完成したこの独立する7つの小品は、すべて長調から成っており、苦しみのなかで創作されたとは感じられないほど、どれも軽やかで、愛らしくもコケティッシュな装いを持つ。聴く、弾く、どちらの面からもお勧めしたい作品である。

「全人」2021年5月号(No.860)より

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