玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2022年

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彩文台付壷

彩文台付壷

タイ バン・チェン遺跡周辺出土か
前300年~後1世紀頃 口径9.5×器高19.1cm
戸田哲也氏寄贈

北東タイの北部、ウドンタニ県に、バン・チェン遺跡という、集落と墓地の遺跡がある。1960年代にこの遺跡の存在が知られると、出土する赤い顔料で文様を描く特徴的な土器の存在が、注目されるようになった。
やや扁平な壷の下部に、高い脚台が付く本資料も、バン・チェン遺跡か、その周辺出土のものとみられる。成形後にクリーム色の化粧土をかけ、さらに赤色顔料で装飾する。口縁(こうえん)と肩の部分を赤く塗り、頸部(けいぶ)と胴の屈曲部に1条の横線を巡らせ、肩に白抜きでタカラガイ状の文様を表現する。胴下部には、花弁を思わせる連続アーチと列点文がみられる。脚台の下半には、横方向の列点文と5本の平行線、裾には3連の波文様が巡るように描かれる。
バン・チェン遺跡出土の土器は、時期的に何段階かに分けられ、青銅器出現期の土器は、当初紀元前3600年頃とみられ、世界最古の青銅器文化かと騒がれた。その後も年代観の検討が続き、現在、青銅器出現は紀元前1500年以降、赤い顔料で文様を描く土器は、鉄器を伴い、紀元前300年~後1世紀頃のものと考えられている。

「全人」2022年9月号(No.874)より

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