玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
全人掲載年

玉川大学教育博物館
〒194-8610
東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8656
Fax:042-739-8654
mail:museum@tamagawa.ac.jp

館蔵資料の紹介 2022年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2022年 > 彩陶単耳長頸壷

彩陶単耳長頸壷

彩陶単耳長頸壷

中国 黄河上流域
前2200~前2000年頃
口径11.2×器高25.9cm 戸田哲也氏寄贈

中国の新石器時代後期の文化で、黄河上流域の甘粛省・青海省付近に分布していたものとして、馬家窯(ばかよう)文化(前3100〜前2000年頃)が知られている。あるいは甘粛仰韶(ぎようきよう)文化と呼ぶこともあり、日本の縄文時代中期に並行する時期にあたる。馬家窯文化は、石嶺下(せきれいか)・馬家窯・半山(はんざん)・馬廠(ばしょう)の4類型(時期)に分けられ、写真の土器は、最も新しい段階である、馬廠類型の資料である。
成形をした後に、粘土をドロドロに溶いた化粧土をかけ、丁寧に表面を磨く。その後、顔料で文様を描いてから焼き上げたものを、彩陶と呼ぶ。本資料は、黒色顔料で口縁直下と頸部に貝文(かいもん)、頸と胴の境目に網目状の文様を描く。胴部には人体のようにも見える文様があるが、その腕にあたるものは、長く鈎(かぎ)の手状に巻いており、人蛙文(じんあもん)と回文(かいもん)の折衷の文様と見られる。さらに文様が描かれた範囲全面に、赤色顔料を塗り込めている。頸部から胴部への屈曲部に、環状の耳が1つ付けられる。耳と対称側の胴部の最も張り出した部分に、小さな舌状の突起を持つが、これも馬廠類型の土器に見られる特徴の1つである。

「全人」2022年10月号(No.875)より

前の記事を見る  次の記事を見る

玉川大学教育博物館

このページの一番上に戻る