館蔵資料の紹介 2025年
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No.382
おもちゃ絵「十二支」
鈴木祥湖 下絵 いせ辰 版元
紙 木版色刷 縦39.5×横26.5cm
昭和
玩具に見立てた十二支が一堂に会するおもちゃ絵(江戸千代紙)である。江戸犬張子が目を引くが、画面のあちらこちらに描かれた子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥を探しだすのも楽しく、その鮮やかな色彩と妙妙たる表情もあいまって、新年へのよろこびや期待なども感じさせられる。図案の版木は大正時代のものとされているが、本資料は昭和期の刷物である。関東大震災で多くの版木が失われたものの、残ったこの絵が長い間人びとに親しまれていることがわかる。
千代紙は、平安末期の宮中や公家のあいだで一種の色紙として用いられたことにはじまるといわれる。長い間一部の特権階級のものであったが、江戸時代に京都から江戸に伝えられた千代紙に目をつけた錦絵屋が浮世絵師に図案を描かせて版画にして売り出されたことにより、庶民にひろまった。
木版手摺の千代紙は錦絵と同じ工程をたどり、絵師、彫師、摺師と三職人の手を経て一枚の千代紙が出来上がる。これらを采配するのが版元で、つまり千代紙の出来は版元の力量にかかっているともいえるのである。

