竹あかりで学ぶ循環型資源利用
― 放置竹林の課題と地域連携を体験するTamagawa Mokurin Project ―
Tamagawa Mokurin Projectは、放置竹林の課題に向き合い、竹あかりイベントや竹の炭化を通じて循環型資源利用を実践。町田市「まちだの木」活用プロジェクトと連携し、学生・教員・地域が協働する環境教育を推進しています。
放置竹林の課題と竹の可能性
日本の里山に広がる放置竹林は、管理しなければ周囲の樹木や植物の成長を妨げ、生態系や土壌環境に深刻な影響を与えます。しかし、竹は成長が早く、強くしなやかな資源として再利用の可能性を秘めています。
Tamagawa Mokurin Projectでは、竹を「問題」ではなく「可能性」と捉え、循環型資源として活かすプロジェクトを進めています。地域と大学が協働するこの取り組みは、環境教育としても貴重な学びの場となっています。
学生と教員がつなぐ循環型資源利用の時間軸
2025年10月9日:竹の伐採・切断(工学部学生)
秋晴れの東山エリア伐採した竹を工学部一年生たちがノコギリを手に切り出しました。竹の硬さや節の構造を手で確かめながら、一本ずつ丁寧に伐採し輪切りにしていきます。
この活動は、町田市のTamagawa Mokurin Projectと連携する「まちだの木」活用プロジェクトの一環として行われ、当日は町田市経済観光部農業振興課の職員も参加しました。冒頭には牛腸哲史担当課長より「東京・町田発 新しい里山づくり ~放置竹林問題の解決に向けて~」と題した説明があり、放置竹林問題の背景や地域の取り組みについて学ぶ場ともなりました。
学生たちは単なる作業ではなく、自然素材と向き合う体験を通して、竹が持つ力と課題を体感しました。
10月中旬〜11月:竹の加工(玉川大学学術研究所 田中敬一デザインプロジェクト学生)
伐採された竹は、玉川大学学術研究所の田中敬一特別研究員とデザインプロジェクトの学生たちの手で、一本一本丁寧に穴や模様が刻まれました。
竹筒に開けられた模様はそれぞれ個性があり、光が漏れる形も異なります。この作業を通して、竹はただの素材から、夜のキャンパスで光を放つ芸術作品へと変身しました。学生たちはデザインと自然素材を組み合わせる楽しさを学び、創造力を発揮しました。
2025年12月1日〜12月3日:「竹あかり・ゆらぎの丘」点灯イベント
夜の芝生に並ぶ180本の竹あかりは、柔らかなオレンジ色の光で幻想的な空間を作り出しました。竹筒ごとに異なる模様から漏れる光や、背後のスクリーン映像との調和により、全体が一つの作品としてまとまります。
竹あかりの制作は、玉川大学学術研究所 田中敬一特別研究員とデザインプロジェクトの学生たちが担当。学生・地域・子どもたちが協働して作り上げる参加型の環境教育の場となりました。
光と影の美しさ、竹の温かみ、そして人々の手仕事が生み出すぬくもりが、訪れた人々の心に深く刻まれました。






2025年12月6日:竹の炭化(農学部 友常満利准教授+ゼミ生/芹ヶ谷公園 Future Park Lab 2025 Winter)
竹あかりで使い終わった竹は廃棄せず、芹ヶ谷公園で開催される「Future Park Lab2025 Winter」のワークショップ内でバイオ炭化されます。炭化された竹は、CO₂を長期間固定しながら土壌改善材として森や学内に還元され、光の体験から森の新しい成長へと循環が続きます。
竹あかりの灯りが終わった後も、その竹は次の命を森に還す。光と自然のつながりを体感できる、循環型資源利用の集大成です。



「まちだの木」活用プロジェクトとの連携
Tamagawa Mokurin Projectは、町田市の「まちだの木」活用プロジェクトと連携し、伐採された竹や木材を地域資源として活かしています。大学と地域が協働することで、循環型資源利用のモデルを構築し、環境教育の学びを深めると同時に、地域社会とのつながりも広がっています。
竹あかりイベントの魅力
竹筒ごとに異なる光の模様、緩やかな傾斜に沿った配置、背後スクリーンとの調和。竹あかりは、自然素材と人の手仕事が生み出す美しさを体感できる参加型アートです。夜の芝生に広がる温かい光は、伝統と現代アートが融合した幻想的な空間を作り出し、見る人の心を落ち着かせます。「竹あかりが描く、光と影のアート。自然のぬくもりと幻想的な夜をお楽しんでいただくことができました。
未来をつくる、地域と学生の協働
単なるイベントではなく、循環し続ける資源利用の文化を育むことを目指しています。学生、教員、地域、行政が協働し、環境課題に触れ、体験し、解決に向けて行動することで、持続可能な未来の基盤を作ります。
