熱エネルギー研究室は,玉川大学 工学部 機械情報システム学科/玉川大学大学院工学研究科に所属します.
物体の表面温度が水の凝固点温度以下にある場合,空気中の水蒸気が物体の表面で凝結して霜層を形成します.この現象は,一般には着霜現象と呼ばれており,熱移動と物質移動とが 同時に起こる非定常現象です.冷蔵庫やヒートポンプの室外蒸発器の周辺でよくみられる現象であり,これらに着霜現象が起きてしまうと霜層が熱抵抗層となり熱交換量の低下,除霜運転の繰り返しによる寿命の低下,除霜時の暖房停止による快適性の低下などの弊害をもたらしてしまいます.着霜現象は,霜層の成長および霜結晶が冷却面温度や空気の温度・湿度,空気流速,冷却面形状等に よって変化します.熱エネルギー研究室ではこれらの課題を改善すべく,霜結晶成長の制御・抑制を目指しています.
関連:着霜・除霜研究会
多成分系液体を用いた未利用冷熱の有効利用に関する研究を行っています.
LNG冷熱の利用などを目的として開始した課題です.冷熱利用の問題点として,蓄冷技術の開発とともに冷熱貯蔵および蓄冷材の輸送方法が挙げられます.本研究では以上の問題を解決しうる蓄冷材として,多成分系液体で実現する
固液共存相を流動性のあるスラリー化した潜熱蓄冷材として利用することを提案し,蓄冷技術の開発と冷熱貯蔵および蓄冷材の輸送方法の実用化を目指した基礎研究を行っています.
微粒化した液滴群を噴霧二相流の状態で高温面に衝突させ,顕熱および潜熱移動により これを冷却する噴霧冷却技術は,鋼材冷却等の高温面の冷却に主として利用されてきましたが,見方を変えれば高温壁面に衝突した液滴の蒸発を促進する技術でもあります.噴霧冷却の熱伝達特性は,沸騰曲線と同様のN字曲線になることが知られており,限界熱流束では,衝突液滴の50~80%が蒸発可能な熱流束が得られます.この熱伝達特性は高温壁面の表面性状を変化させることによって制御できる可能性があります.本研究では,噴霧冷却を用いた冷却制御および伝熱促進を検討するとともに,高速度撮影による現象の解明に取り組んでいます.