玉川大学「教員養成推進プログラム」
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教育プロジェクトの内容及び実施計画について

教員を取り巻く社会状況や学校教育の現状を踏まえ、教員が広く尊敬と信頼を得られる存在となるためには、専門知識の習得はもとより、教員としての実践的指導力を身につけることがなによりも必要である。
本学では、これまでにコンピュータとネットワークを活用したe-educationによる自学自習の教育環境を整備し、実験・実習、映像等体験活動を駆使した授業を行うとともに、学生たちにさまざまな学習条件を課している。各々の授業においては学習内容の到達度を重視し、特に教職課程受講に際しては、1年次終了時点での累積GPAが2.0ポイント(最高4.0ポイント)以上であることを条件としている。さらに、3年次の春学期において累積GPAが2.0ポイント以上でなければ、それ以降教職課程を継続学習することを認めていない。数学検定、漢字検定、英語検定の検定試験についても、最低条件として準2級以上の取得を必須としている。さらには、次のようなことにも取り組んでいる。

(1) 教育現場での体験をもとにした講話の実施。さまざまな教育活動の理解を深めることを目的としている。また、本学の教員がコーディネートし、近隣の小学校の校長13人によるリレー講義を行っている。
(2) 教育現場経験者による「教職演習」や「教育実習事前指導」の実施。そのために公立の小・中学校の校長経験者、教育委員会学校教育部の部長あるいは指導主事経験者、市の教育センター所長経験者等11名を教職担当教員(非常勤)として採用している。
(3) 学生個々の得意分野づくりや特定の分野に自信を持たせることを目的に、本学が独自に付与する指導者資格(メンター)制度の導入。「児童のためのIT&メディア教育指導者」「児童のための英語教育指導者」「児童のための音楽教育指導者」「児童のための体育教育指導者」「児童のための心の教育指導者」の5種類を設定している。

一方、教員としての実践的指導力については、養成段階としての大学においてその基礎を確実に修得させることが責務である。
そのために、本学ではこれまで教育実習及び介護等体験をはじめとして、多様な実習を地域の教育委員会と連携のもとに構築、開発、実施してきた。(図1参照)

<図1>本学における教員養成の概念図


本プロジェクトは、そうした本学の実践、実績を踏まえてのものである。
なかでも、「実践的指導力の基礎」の修得についてさまざまな観点から検証、研究し、その結果を今後の実践の改善に繋げようというものであり、次のような計画である。
ア) 学生たちには、「教員としての実践的指導力に関する体験学習」を、特定の教育委員会の協力を得て体系的に課す。
イ) その経過や成果をもとに学生、小・中学校教員、教育委員会関係者、大学教員等が協同して「教員としての資質能力に関する検証と研究」としてまとめる。
具体的な内容は、次のとおりである。

■教員としての実践的指導力に関する体験学習
これまでに、教員としての実践的指導力を身につけさせる体験学習として、「教育実習・介護等体験プログラム」「教育インターンシップ(サービスラーニング)プログラム」「教育ボランティアプログラム」「アドベンチャー・エデュケーションプログラム」の4つのプログラムを学生に体験(教育インターンシップ、教育ボランティアは任意)させてきた。
しかし、学生にとっては体験先の小学校や中学校が不特定であり、学生への一貫した指導や評価が行われていなかった。この観点から、4つのプログラムを同一の学校において体験させる必要性が生じてきた。そこで、2006(平成18)年度からは、一貫した体験プログラムとして構築し、参加学生を募り、教育委員会と連携のもとに同一の小学校や中学校において4年間に亘って実施する。この場合の小学校、中学校をベーススクールと定義する。

■各プログラムの内容と実施時期
(1) 教育実習・介護等体験プログラム
教育実習・介護等体験は免許法において課せられているものであるが、本学ではこれに参観実習を加えている。
「参観実習」 公立小学校・中学校を参観/1年次の秋学期(近隣の16校) 私立小学校・中学校を参観/2年次の春学期(本学併設校)
「教育実習事前指導」 小・中学校校長等経験者による指導/3年次の秋学期
「教育実習」 各実習校にて現場実習/4年次の春学期
「教育実習事後指導」 実習担当教員との面接試問、報告会での発表/教育実習終了後
「介護等体験事前指導」 教職担当による指導/2年次の春学期
「介護等体験」 施設にて体験/2年次の春学期あるいは秋学期に7日間
「介護等体験事後指導」 指導担当教員との面接試問、報告会での発表/体験終了後
(2) 教育インターンシップ(サービスラーニング)プログラム
(内容)
近隣地域の公立小学校において、授業をはじめとする教育活動に参加して児童の学習指導を行う。また、放課後の補充学習を支援することによって、教員として必要な教育実践能力を養う。学級経営や委員会活動への支援活動は児童理解を深化させ、学級経営への理解を高めることを目的としている。
2003(平成15)年度に、「サービスラーニングA」「サービスラーニングB」「サービスラーニングC」(各2単位)を科目として設置した。毎年、百数十人の学生が体験している実績がある。それぞれ6カ月間、50時間以上のインターンシップ活動が条件となっている。
(実施時期)
2年次春学期、2年次秋学期、3年次春学期で3回に分けて行う。なお、海外での体験を希望する学生に対しては、オレゴン大学留学プログラム(6カ月)の中で、オレゴン州イマージョン・スクール(二言語教育学校)において実施することができる。
(3) 教育ボランティアプログラム
(内容)
近隣地域の小・中学校の学校行事に参加し、支援活動を行う。具体的には林間学校、臨海学校、校外の体験学習等の引率補助活動、学校主催の行事活動の企画立案から運営、実施に係わるものである。体験学習の意義を学ばせ、ボランティア精神を涵養する。
(実施時期)
2年次、3年次の夏期休暇・春期休暇を利用して行う。このプログラムについては、2001(平成13)年度より実施されており、2006(平成18)年度からは科目として設置する予定である。
(4) アドベンチャー・エデュケーションプログラム(体験学習)
(内容)
本学の学術研究所(附置研究機関)の施設のひとつである、「心の教育実践センター」の協力を得て実施する体験学習である。目的、対象、期間、場所等によって、さまざまなプログラムが用意されている。 参加者が協力し合うことの重要性を体験する「協力ゲーム」(写真1)、問題解決を求める「イニシアチブ」(写真2)、仲間との信頼関係を築くために身体的、心理的なリスクのあるさまざまな活動を繰り返し、最終的に安全を確保する「トラスト」(写真3)、参加者がお互いに助け合いながら行うもので、個々の活動の到達目標を決めて取り組むことのできる「ローチャレンジコース」(写真4)、勇気を持ってチャレンジすることにより、達成感や信頼感を得ることができる「ハイチャレンジコース」(写真5・6)等がある。
写真1:協力ゲーム   写真2:イニシアチブ   写真3:トラスト
写真1:協力ゲーム   写真2:イニシアチブ   写真3:トラスト
写真4:ローチャレンジコース   写真5:ハイチャレンジコース   写真6:ハイチャレンジコース
写真4:ローチャレンジコース   写真5:ハイチャレンジコース   写真6:ハイチャレンジコース

(実施時期)
現在、これらを1年次では入学時に、3年次では学外の宿泊研修において学生に体験・学習させているが、2005(平成17)年度からは、2年次及び4年次にも体験させる。これにより、1年次から3年次までは自らが体験・学習し、4年次には指導者としての技能を身につけるという体系的なプログラムの構築を目指す。また、4年次には指導者としての力量を、専門指導員の協力を得て検証する。力量不足の者には再研修を課す予定である。

■教員としての資質能力に関する検証と研究について
◆2005(平成17)年度に実施する項目
(1) 「教員としての資質能力についての調査」
「教員としての資質能力とはどういった内実のものなのか」について小・中学校教員、教育委員会関係者にアンケート調査を実施し、その内容を明確にする。さらに、今後教員に求められる資質能力の中身を分析、検討し、本プロジェクトの中に組み込む。
(2) 「本学のこれまでの実績についての検証」
ア) 「教育実習・介護等体験プログラム」は必修であるが、「教育インターンシップ(サービスラーニング)プログラム」「教育ボランティアプログラム」「アドベンチャー・エデュケーションプログラム」については選択であるので、それらを全員が受講しているわけではない。そこでこれらプログラムをすべて受講した者、一部を受講した者、まったく受講しなかった者に区分けして、卒業時の累積GPAや教員採用試験採用率を調査、分析をする。
イ) 毎年2月に「SPI職業適性検査」を学生全員に課し、その結果との関係も検証する。
ウ) 本学卒業後5年未満の現職教員を対象に、本学の体験学習プログラムについての有効性に関する調査を行い、分析をする。
(3) 「教員としての資質能力に関する協議会の開催」
小・中学校教員、教育委員会関係者、本学教員等により、「教員としての資質能力」をテーマとして協議を行う。2005年度は10月と1月に開催し、前述の調査、分析結果をもとに教員志望者に必要な資質や力量を明らかにし、さらに「教員としての実践的指導力に関する体験学習」に反映させることとする。

◆2006(平成18)年度に実施する項目
(1) 「小・中学校教員による教科別教材・教授法開発プログラム」
カリキュラム作成、教科指導法の教材研究や教材作成、教授技術訓練等の場において学生たちは小・中学校教員から指導を受ける。指導内容により、本学で指導を受ける場合と教育現場で行う場合がある。
(2) 「宿泊集団生活体験プログラム」
同じ目的意識を持った2年次生を対象に、教員としての強い使命感を持たせ、集団における規範意識の高揚、対人関係能力・コミュニケーション能力の向上を図ることを目的とし、数日間の宿泊集団生活を体験させる。本学卒業生の小・中学校教員や教育委員会関係者による講話、指導を行う。
(3) 「教員としての資質能力に関する協議会の開催」
2005年度に引き続き、小・中学校教員、教育委員会関係者、本学教員等により、「教員としての資質能力」をテーマとして協議を行う。7月に開催する。
(4) 「教員としての資質能力に関する検証と研究についてのシンポジウム」
本プロジェクトの実施経過とそれまでの結果を踏まえて、学生、小・中学校教員、教育委員会関係者、大学教員等が「教員としての資質能力」について討議、検証する。学生、小・中学校教員による体験発表と学生、小・中学校教員、教育委員会関係者、大学教員によるパネルディスカッションの構成とし、その成果については報告書としてまとめる。
(5) 「プロジェクト評価委員会」
学長をはじめとした大学関係者及び小・中学校教員、教育委員会関係者、校長会会長を含めた学外関係者で構成された「プロジェクト評価委員会」を1月に開催し、個々のプログラム及び本プロジェクトに対して評価をする。

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