館蔵資料の紹介 2025年
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No.385
「芸者と子猫」
藤田嗣治 作 リトグラフ
縦110×横75cm 1926(大正15)年
フランスへ帰化した日本人画家、エコール・ド・パリの寵児と謳われた藤田嗣治(つぐはる)(レオナール・フジタ、1886−1968)の大判リトグラフで、1926年にフランスで刊行された歌集『芸者のうたChansons des Geishas』と同年に制作された。お座敷遊びで芸者が繰り広げるうたをフランス語に訳したこの歌集には、ポショワール技法(西洋版画の一種)を用いたフジタの挿絵が収録されており、歌集の高い評価を受けて特別に制作されたものと考えられる。
袖と裾に大きな花柄が描かれた着物をまとう束髪の芸者、帯から出た紐をたどると、その足元では紐に興味を示してじゃれようとする白猫の後ろ姿が描かれる。首の大きなリボンは子猫であることを強調して紐へ無邪気に向かう姿を引き立てる一方、仕事から離れた穏やかな時間を過ごす芸者の日常もうかがえる。
35年、音楽家アンリ・ジル=マルシェックスはこの歌集をもとにした歌曲《芸者の七つの歌》を発表、詩人アンリ・ド・レニエが称賛するなど高く評価された。

