館蔵資料の紹介 2025年
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No.391
生
ピエロ・サダン 作
キャンバスに油彩
縦110.8×横120.7cm 1972年
イタリアの画家ピエロ・サダン(1919-74)は、生涯に幾度か作風を変え、1960年頃から抽象的なアンフォルメル絵画を描くようになった。この作品は、一見焦げ茶一色のようだが、実際は紺、白そして僅かに赤などの絵具も塗り重ねせて描かれている。
「生」の原題は「LIFE」である。この題名が人生や生活の意味だとすると、この絵はどう見えるか。生きていく中で悲喜こもごも、良いこと悪いことが様々に起き、それらがない交ぜになったのが日々の生活であり、人生である。塗り重ねられた絵具が、そうしたものを表していると、見ることもできよう。
一方で、生命ととらえたらどうであろう。ドロドロの状態から、何かの生命が生まれてきそうな気配を、感じないであろうか。作者サダンは日本神話を知る由もなかろうが、『古事記』の天地開闢(かいびやく)の物語に、大地が固まらず混沌(こんとん)とした中から、葦(あし)の若芽がすくと伸びるように、神が生まれたとある。筆者はこの絵を前にすると、その話が思い起こされるのである。

