玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2025年

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生

No.391

ピエロ・サダン 作 
キャンバスに油彩
縦110.8×横120.7cm 1972年

イタリアの画家ピエロ・サダン(1919-74)は、生涯に幾度か作風を変え、1960年頃から抽象的なアンフォルメル絵画を描くようになった。この作品は、一見焦げ茶一色のようだが、実際は紺、白そして僅かに赤などの絵具も塗り重ねせて描かれている。

「生」の原題は「LIFE」である。この題名が人生や生活の意味だとすると、この絵はどう見えるか。生きていく中で悲喜こもごも、良いこと悪いことが様々に起き、それらがない交ぜになったのが日々の生活であり、人生である。塗り重ねられた絵具が、そうしたものを表していると、見ることもできよう。

一方で、生命ととらえたらどうであろう。ドロドロの状態から、何かの生命が生まれてきそうな気配を、感じないであろうか。作者サダンは日本神話を知る由もなかろうが、『古事記』の天地開闢(かいびやく)の物語に、大地が固まらず混沌(こんとん)とした中から、葦(あし)の若芽がすくと伸びるように、神が生まれたとある。筆者はこの絵を前にすると、その話が思い起こされるのである。

「全人」2025年11月号(No.909)より

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