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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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はるのうみ

春の海

Haru no umi

新花(江戸花容) 【英数】三英 【花色】花被片基部が鮮やかな濃紅紫 【開花時期】6月中旬(2021年は6月8日開花) 花径は15cm程度。

分類 : 先端部が垂れた平咲きの三英花です。花容(花全体の形状)では、平咲きで先端部が下方向に垂れ下がる「新花の江戸花容を示す品種」です。一般には江戸系品種としていますが、肥後系やアメリカ系(例外)の品種を複雑に交雑して育成したとのことです。したがって、歴史的由来が不明なので、本ホームページでは新花(江戸花容)として分類しました(詳細は備考参照)。
外花被 : 丸弁で大きく、先端部はやや波打っています。花被片全体の花色は薄い紫色で、基部(根本)が非常に濃い青紫色です。周縁部は淡い紫色で白色になることもあるので、外花被片の中でも周縁部と基部の花色の濃淡が非常に異なる点が特徴です。アイの黄色部分は非常に大きく目立ち、縦径×横径は2.0×1.0cmで他の品種と比べて非常に大きいです。アイの周縁部は白く抜けています。脈は赤紫地で細く見えますが、周縁部にいくほど目立たなくなりますが、明瞭な白色の覆輪とはいえない色彩です。
内花被 : 楕円形で幅が広く、やや内巻きとなって軸方向に直立します。花色は赤紫色で周縁部は細い白色の糸覆輪が発達します。
花柱枝 : 芯が太く軸方向に斜め上に直立します。基部は細く、先端部は若干太くなります。基部の色は白色で紫味がかりますが、先端部に向かうにつれて紫色になります。周縁部は白色。花柱枝の中心部から裂開し、先端分にはずい弁が形成されます。ずい弁は直立して先端分はやや内巻きとなり、細かな鋸歯が目立ちます。ずい弁の先端部は白色です。
備考 : 平尾秀一氏により育成された品種で、昭和に育成されていますが、育成年代は不明です。花菖蒲の品種群は、育成地域ごとに、江戸系、伊勢系、肥後系に分類され、さらに育成者により、アメリカ系、輸出目的の大船系などにも分類されています。
戦時中は、これらの品種群は各地に逸脱しましたが、戦後になって熱心な愛好家により、逸脱していた花菖蒲の品種群が一か所に集められました。各系統の品種が一同に集められた中で、さらに環境価値の高い品種を育成しようとした結果、系統間での交配が行われるようになりました。平尾氏はこの点に着目し、肥後系の豪華さとアメリカ系の濃い色彩との融合を目的として育成した品種の一つが、この「春の海」です。このように戦後は、系統ごとに品種を育成する愛好家と、敢えて系統を越えてより優れた花容や花色を追求した結果、育成される品種群も存在するようになりました。
「春の海」の場合は、外花被片が非常に濃い紫色ですが、このような形質はアメリカ系の特徴を表現しているとのことです。花容が平咲きであることから、江戸系花菖蒲に分類されていますが、育種過程からの見地では、肥後系とアメリカ系との系統間雑種群、すなわち「別の品種群」ということになります。

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