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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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ぴんくふろすと

ピンクフロスト

Pink Frost

アメリカ(例外) 【英数】六英 【花色】ピンク色 【開花時期】6月上旬 2008年は5月30日開花

分類 : アメリカ(例外)の品種で江戸花容の品種です。平咲きの六英花です。
花被 : 形状は楕円形で、花被片全体が大きく波を打っていて、周縁部はわずかに縮緬状構造が見られます。花色は全体的に薄いピンク色で、花被片の中心部はぼかした白色です。花被片には薄い藤色の細い筋が入ります。
花柱枝 : クリーム色がかった白色で、やや斜め上に直立します。非常に硬い芯です。花柱枝の周縁部は黄色みがかったクリーム色です。先端部は小さく2裂開してずい弁を形成します。ずい弁は内巻きで、先端部は小さな鋸歯が発達します。ずい弁の色は薄いピンク色、または白色です。
備考 : 1955年(昭和30年)にアメリカ人のウオルター・マルクス氏により育成された品種です。マルクス氏は、昭和初期から昭和40年代にかけて花菖蒲の品種を育成した人物で、代表的な品種には、本品種の他に「ピンクトライアンフ」などがあります。ピンク系の花色を持つものが多いようです。花被片全体が大きくうねったように波打っていること、平咲きで弁質が硬いことなどが特徴です。周縁部の波打った部分は、開花時に伸展しない場合には縮れ、この部分が青紫色になる場合があります。
なお、本来、ハナショウブの分類は育成した場所によって、「江戸系、肥後系、伊勢系」のように分類をします。「ピンクフロスト」のようにアメリカ人が育成した品種については、育成地域で分類するのは困難なので、平尾氏は花容が平咲きであることを根拠にして「江戸系」に分類していますが、遺伝的な由来が不明なので「江戸系」と分類はできません。花の形態で見ると江戸花容となるでしょう。
わが国の伝統園芸植物のハナショウブを、アメリカ人の目線で育成し、品種として発信した功績は非常に重要であり、花器官の形状や花容、花色において、わが国で育成された品種とは比較的容易に区別できます。特に花器官の形状や花色は研究価値の高いものです。
そこで、本ホームページでは、わが国の伝統的な園芸植物を国際的に広めたペーン氏やマルクス氏の育成した品種群を敢えて取り上げることにしています。ただし、花菖蒲の育成においては、わが国に従来からある「江戸、伊勢、肥後などの古花」とな遺伝的な性質、文化を異にするので「アメリカ(例外)」と呼ぶこととしました。これは神奈川県立フラワーセンター大船植物園で育成された「大船(例外)」でも同様です。アメリカ(例外)の品種群については、カタカナ名で掲載した品種が該当します。
文献 : Tabuchi,T.2011. Stractural characteristics related to physical properties. Flower colour. In:Physical and Biological Properties of Agricultural Products. Edited by Naoshi Kondo,Takahisa Nishizu,Takahiro Hayashi,Yuichi Ogawa,Hiroshi Shimizu and Kiyokazu Goto. Kyoto University Press,Kyoto.p41-43.
田淵俊人. 2014. 日本伝統の園芸植物,ハナショウブの特性に関する研究 4. アメリカ品種群について園学研.(Hort. Res. (Japan)) (別) 2: 507. 田淵俊人.2016.アメリカ人による花菖蒲の育種―国外に認められた日本伝統の美.柴田道夫監修 (→参照)『花の品種改良の日本史』 p254.悠書館,東京.

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