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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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ふじむすめ

藤娘

Fujimusume

江戸系 【花容】やや垂れ下がった平咲き 【英数】六英 【花色】やや青みがかる紅紫地に白色絞り 中輪 【開花時期】6月中旬。上段は2018年6月10日、中段は2021年は6月12日開花、下段は2022年6月10日開花、撮影)

分類 : 江戸古花で、先端部がやや垂れ下がる平咲きの六英花です。
外花被 : 花被片の形状は円形で、青色みがかった紅赤紫色に白色の筋が細く流れるようにして入っています。花径は12〜13cmの中輪花です。
花柱枝 : 細長くやや斜め上に立ち上がります。淡い紫色がかった白色で、周縁部は紅紫色になります。先端部のずい弁は紫色で立ち上がりながらやや内巻きになり、紫色で2裂開してやや内巻きとなります。
備考 : 江戸時代に小高園の小高伊左衛門によって育成されたと言われています。江戸・堀切村(現在の東京都葛飾区堀切町)の小高伊左衛門、および二代目の小高伊左衛門はハナショウブの品種改良に尽力した人物で、享和・文化の頃(1801〜1818年)にわが国で最初の花菖蒲園である小高園を開設しました。この時期には堀切村でも「武蔵園 」などの花菖蒲園が開設されました。この当時、育成された品種を江戸系の中でも特に「古花」と呼んでいます。 この品種は、同一名に伊勢系と肥後系がありますが、六英で紅赤紫に白色の細い流れ絞りが入るのは本品種だけです。あまり見かける品種ではありませんが、本学では最初に花菖蒲園を開設した人物が育成した品種として重要視して、この品種の維持・保存に努めています。なお、地の色は場に赤紫色ですが白色が多い場合や、筋(絞り)の程度には個体差があります。写真にはこのようないくつかの花容を掲載しました。室内で撮影するとやや青みがかる場合があります。
なお、写真では、上の4枚は2018年開花、中段は2021年開花、下段の3枚は2022年に開花したものです。いずれも同一の株から開花したものですが、このような刷毛、絞り模様のある品種では株間差、あるいは同じ株でも開花年次により、同じ品種とは思えないような花色になることがあります。
本品種の基本的な花色は、2022年の開花(下段の3枚)であると考えられます。2022年の開花分で見ると、濃い紅色が基調となっており、白い刷毛、絞りの部分があまり認められません。用いている土壌は同じで、かつ肥料も同じ、栽培環境も同じ場所です。このように、花菖蒲の品種によっては、特に白色の刷毛や絞りが見られる品種では、年次変化が認められるようなので、由来を明確にしておくこと、年次変化を継続して見ることが必要です。花色が異なることを理由にして株を廃棄しないようにしています。
引用文献 : 田淵俊人.2016.江戸ハナショウブの普及―わが国初の花菖蒲園・小高園の開設.
柴田道夫監修『花の品種改良の日本史』悠書館,東京.240−241.

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