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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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ばんこのこえ

万戸の声

Banko no koe

肥後系 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【花色】濃い紅紫色 【開花時期】6月下旬
2022年は6月24日開花

分類 : 肥後系の「古花」で、開花初期は平咲き、のちに垂れ咲きになる三英花です。
花被 : 濃い紅紫色で、特に外花被(6×6cm)の周縁部ではやや「ひねり」が入って、波打った形状になります。濃い紅紫色で、花被片の基部は白色、周縁部かけては白色の「ぼかし」と呼ばれる淡い白色で、白色の筋が入ります。また、白色の部分に紅紫色の小さな斑点が流れるように入ります。このような白色を「雪白」と表現する場合もあります。アイの黄色部はまっすぐに伸びます。
この写真では上の4枚は、本学・博士課程を修了した小林孝至博士が自宅のベランダで開花させたもので、花被覆片が大きく波打って、あたかも「うねり」があるような咲きぶりとなりました。草丈はやや低いようで約50cm程度です→「三鈷の松」を参照。写真は開花して1日経過したものですが、花被片の縁側がやや縮れかけています。
下の4枚は、著作者が栽培して撮影したものですが、開花1日目で緩やかに垂れ下がりました。なお、肥後系の品種で三英花の場合は、お互いの外花被片同士が重なるようになりますが(透けて見えない)、本品種でもその様がよくわかります。
内花被片 : 内花被片はさじ状で先端が尖り、軸方向に立ち上がります(3×2cm)。やや内巻きで皺があります。波状になり、紅紫色で中心部は白色です。
花柱枝 : 太くて軸方向にまっすぐに立ち上がります。色は白色です。先端部は2裂開してずい弁が発達します。ずい弁は濃い紅紫色でやや内側に向かって大きく波を打っているように巻いているのが特徴です。花柱枝の大きさはやや小さく見えます。
備考 : 肥後の花菖蒲の愛好家の団体(満月会→「庭燎(ていりょう)」の項を参照)の会員であった西田信常氏が横浜に移り住み、「西田衆芳園」を作って育成・販売した品種の一つで、1930年(大正5年)に育成した品種です。株がやや弱く、株によっては開花しないものもあります。
西田氏は、満月会から譲り受けた品種同士で品種を育成して販売をしていますので、「肥後系品種」とはいわずに「熊本花菖蒲」としています。
このホームページでは、肥後の満月会由来の西田信常氏が「満月会」由来の品種群を交配して育成しているので、西田氏の育成品種群を敢えて「肥後古花」としています。
上の4枚の写真の株はベランダで栽培し、開花させたものですが、肥後系や伊勢系の品種のように、主に1つ1つの花を観賞する場合には、場所が許せれば現在の居住環境で十分に栽培が可能です。ちなみに本学では、品種保存の目的もありますが、3号鉢(9cm)で本品種を栽培し、十分に開花させています。江戸系品種群のように「群生美」を観賞する品種群では、同一品種を多く植える観点から、栽培場所が確保できないのでむずかしいかもしれません。
花径は15cm、花茎長は50cm程度です。特に、花蕾と花茎の付け根が非常に弱いので、花蕾を折らないように気を付ける必要があります。
文献 : 田淵俊人.2016.肥後ハナショウブの成立.(監修:柴田道夫,花の品種改良の日本史).悠書館,東京.246-248.
冨野耕治.1967.花菖蒲.泰書館,71,93.

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