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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

TOP > 花菖蒲図鑑 > 品種一覧-さ行 > 酒中花

しゅちゅうか(まつさか)

酒中花

Shuchuka

伊勢系 【英数】三英 【花色】白色の地に紅赤紫色の砂子が少し入ります  【開花時期】2022年6月12日開花

分類 : 典型的な伊勢系の花菖蒲の品種(伊勢古花、松阪古花とも呼ぶ)の花容です。伊勢系の品種群には垂れ咲きの花形によると、傾斜型に垂れるもの(富士山型)、丸抱型に垂れるもの(地蔵型)、および直線的に肩を張って垂れるもの(怒肩型)、の3つに分類されます(冨野、1967の分類法による)。この冨野による垂れ方の分類にしたがえば、丸抱型に垂れるもの「地蔵型」に分類されます(詳細は引用参照)。
外花被 : 外花被片が大きく下垂した三英花で、円形(6×6cm)、白色の地に、赤紫色の粒状の砂子模様が入り、先端部には特に多く入るようです。花被片の表面には全体的に非常に細かい縮緬状の細胞が多いです。開花当初はうねりがあり、周縁部がフリルになりますが、開花後2日目には穏やかに下垂します。
内花被 : やや丸弁を帯びた楕円形で幅が広く(3×2cm)、やや内巻きとなって斜め上方向に斜立します。ややフリルが入り、花色は薄い赤紫色、表面には非常に細かい薄い赤紫色の脈が入り、若干の皺が見られます。
花柱枝 : 斜め上に向かって斜めに直立し、先端部は2裂開してずい弁が形成されます。白色で、ずい弁はやや直立して爪状、くも手は見られません。薄い赤紫色です。
備考 : 1920年(大正9年)以前に伊勢・松阪地方で育成された、「伊勢古花」で、江戸系古花の同じ品種名のものと区別するために、「松阪酒中花」と称しています。
伊勢地方で発達した伊勢系品種群は、1904年(明治37年)からの記録しかないので、それ以前の記録をたどることが困難ですが、本学では、分子生物学的な手法によって、この課題に取り組んだ結果、伊勢古花と呼ばれる品種群の内、「落葉衣」、「瑞宝」、「村雨」、「宝玉」、「桃の里」、「狩衣」、「乙女」は、三重県の斎宮に自生するノハナショウブ由来であることを報告しました(知野ら、2020)。この品種についても以降、調査していく予定です。
なお、本品種は、花径は13cm、花茎長は40cmで小さく、花茎も細く短いので性質はあまり強くないようです。
このような研究には、「伊勢古花」と呼ばれる純粋な品種株と、三重県・斎宮のノハナショウブ、別に品種名を「とんとん花」としている個体を保持していることが重要です。ちなみにこの「とんとん花」は、斎宮のノハナショウブで「皺があり、青紫をしていて垂れ咲き」です。現在、この形質も含め継続研究中です。
参考文献 : 冨野耕治.1967.花菖蒲.p76-77, 81.泰文館,東京.
田淵俊人.2917. 伊勢ハナショウブの成立.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫監修).悠書館,東京.250−251.
知野奈苗・小林孝至・田淵俊人.2020.エステラーゼアイソザイム分析による伊勢系品種のハナショウブの起源.園芸学研究.19(別1):416.

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