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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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せんたーおぶいんたれすと

センターオブインタレスト

Center of interest

米国(例外) 【英数】六英 【花色】青紫色 【開花時期】6月上旬〜中旬(2023年は6月11日開花)

分類 : アメリカ品種。基本的には平咲きの六英花ですが、先端部が大きく下垂し、全体的な花容は垂れ咲きのようになります。
花被片 : 花被片の形状は横幅が広い広楕円形で(6×8p)、周縁部は若干、内側に巻いています。皺が入る個体もあります。
基本的には、六英花ですが花被片が裂開すると、これよりも多い英数に見える場合があります。この場合には、花被片が発達して内巻きになったものと、雄蕊が発達して花被片化したものと、2つのパターンに分類されます。これらの花被片には大きな皺が入ります。また、アイの周辺に「とさか状の突起」が発達する場合があります。
基調色は紫色で、アイに周辺、ハロー付近や中心部は青紫色が目立つので、遠目には濃い青紫色に見えることがあります。アイは円形で周辺は白色です。
花被片は非常に厚く、下の4枚のように降雨に当たっても水滴が滴るほどで、本学で研究の結果、花被片の表面に「ろう物質」の蓄積が他の品種よりも多いことが、その理由の一つであると考えられています。
花柱枝 : 斜め上方向に向かって大きく発達し、途中で多くが裂開します。その結果、裂開した部分から先にずい弁が発達するものが生じ、花器官の中心部に花被片が集まったようになります。色は紫色ですが白色に変化する個体も見られます。
ずい弁の先端部は著しい鋸歯が発達し、ひねり状になるものがあります。
なお、ずい弁の先端部(アイの黄色い部分)や、花柱枝の間から「筒状」の藤色の花器官が飛び出すことがあります。これは、解剖学的には雄蕊が発達して花粉の喪失して花被片化したもので、これは肥後系の品種に見られるような「樋弁(といべん)」です。この場合には、ほとんど花粉の形成は認められず先端部は花被片化します。したがって、花器官全体としてみると、中心部に花器官の大小の花被片が多く集まった状態になりますので、肥後系の「飾り花(かざりばな)」にも類似した構造となります
備考 : 花径は20pを超える巨大輪です。花器官が非常に複雑で花被片が厚く、花被片から「とさか状の突起」や、雄蕊が変化して花被片化したものなど、生殖器官の中で様々な形態変異が認められるので、研究素材としては花器官の構造と発達や、形成過程の解説に利用しやすい品種です。
晴天時に観賞した場合には、直射日光が反射して白色に見えるか、複雑な影を作るので写真撮影を行う際には、特に日の当たらない場所か、曇り空の撮影が適する品種の一つです。
なお、毎年、継続して開花させたい場合には、開花後の株を充実させるために花器官を除去して株の充実を図る必要があります。
参考文献 :
  • 中村泰基・平松渚・田淵俊人.2009.ノハナショウブの変異性に関する研究(第11報)外花被片に見られる「とさか状突起の構造」について.園芸学研究.8(別1):412.
  • Toshihito Tabuchi, Azusa Komine and Takayuki Kobayashi.2013.Histological structure of the 'crepe-like' structure of the outer perianth in the Ise type cultivar in the japanese irises. International Symposium on Diversifying Biological Resources.46−47.
  • 田淵俊人.2014.日本伝統の園芸植物,ハナショウブの特性に関する研究 4.アメリカ品種群について. 田淵俊人.園芸学研究13(別2)507.
  • 田淵俊人.2017.ハナショウブ.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫編集).P254.悠書館,東京.P254.

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