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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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せいがくじょう

青岳城

Seigakujo

 
新花(肥後花容) 【花容】やや垂れた平咲き 【英数】三英 【花色】濃い藤紫色に白筋が入る 【開花時期】6月初旬〜中旬(撮影日:2018年は6月2日)

分類 : 新花(肥後花容)の品種。やや垂れ咲き気味の平咲きの三英花です。
外花被 : 丸弁で大きく、周縁部はやや波打ちます。鮮やかな青紫色に細い白色の筋が筋状に入ります。弁の質が厚いのであまり垂れないので平咲きに見えます。開花が進むと周縁部から赤紫色に見えることがあります。
内花被 : さじ状でやや波打って斜めに直立します。濃い藤紫色でやや白い絣が入ります。
花柱枝 : 太く白色で斜め上に向かって直立します。中心部にはクリーム色の線が入り、先端部は裂開しないで細長く直立し、ずい弁は指先のような形状でやや寝ています。ずい弁は濃い藤色です。
備考 : 昭和44年に、平尾秀一氏が育成した品種です。この品種は平咲きですが一般には江戸系と思われるかもしれません。育成者の平尾氏は肥後系としています。初めての人にはわかりにくい部分ですが、肥後系にも三英花はありますが、花被片同士が結合して隙間がないのが特徴です。
本品種との類似品種に、「朝戸開」や「伊豆の海」などがあり、これらはお互いに非常に区別しにくい品種で、一部には同一品種で品種名が複数付けられているとの説もあるようです。このページの最後の写真は左が「朝戸開」、右が「青岳城」ですが、生育に差があるだけで区別は極めて困難です。
いずれも江戸時代に育成された品種の「朝妻舟」が極めて純粋なブルーであることから、この品種を基にしてさらに鮮やかな青色を追求した結果、これらの品種が育成されたようです。「青岳城」は昭和の品種ですが、時代の流れで「青い花色ブーム(例えば、バラなど)」があったこともあり、ハナショウブにもそのような要望があったこと、その基は江戸時代に育成の伝統的な品種「朝妻舟」であったことから、敢えて記載することとしました。
平尾秀一氏は、昭和の戦後の混乱期に、花菖蒲ブームを起こすきかっけとなった品種を多く育成した人物で、近年における花菖蒲の育種家として第一人者の一人といえ世界中にも広くその名を知られています。戦後の混乱の中、江戸時代に育成された多くの品種が逸脱していましたが、これらが集められていきました。その中から、特に、豪華絢爛な花菖蒲を花菖蒲園で見たいという目標の基、本来は座敷で観賞するはずの肥後系の品種を、花菖蒲園での観賞にも向くように、風雨にも強く、かつ江戸系品種のように群れて開花する品種を多く育成しました。
戦後の混乱期に、花菖蒲がブームになった時期がありますが、これは平尾氏の功績が非常に大きいと考えられています。現在、江戸時代に育成された品種を敢えて「古花」と呼び、昭和時代に育成された品種を「新花」と呼ぶこともあります。平尾秀一氏は、いわゆる「新花」の品種育成に携わった中心人物の一人と言われています。 また、本品種のように江戸系品種の育成にも力を注ぎ、青系の品種育成にも大きな功績を残した人物でもあります。バラなど、多くの園芸品種で青色系の品種育成が注目されていますが、花菖蒲ではこのような青系の品種が多く存在します。野生のノハナショウブでは、色素のデルフィニジンを含み、かつフラボノイドを多く含むことでより鮮やかな青色になるようです。本品種などを含めた青色品種につき、本学では現在研究中です。
参考文献 :
  1. 平松 渚・中村泰基・田淵俊人.2009.ノハナショウブの変異性に関する研究(第9報)富士山麓に自生するノハナショウブの青色発現について. 園芸学研究.8(別1)
  2. 平松 渚・中村泰基・吉田祐・田淵俊人.2009.ノハナショウブの変異性に関する研究(第10報)アルミニウムおよびリン酸処理がノハナショウブの青色花色の発現要因.園芸学研究 8(別1):411.

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