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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

TOP > 花菖蒲図鑑 > 品種一覧-わ行 > 和田津海

わだつみ

和田津海

Wadatsumi

江戸系 【花容】平咲き 【英数】三英 【花色】薄紺青 白筋 【開花時期】6月初旬から中旬 2022年は6月10日開花

分類 : 江戸系の「江戸古花」です。平咲きの三英花です。
外花被 : 丸弁で水平方向に伸長します(6×5cm)。青紫色の地に脈(維管束)は太い白筋が目立ちます。アイの周辺部は青紫色の細かい粒状の砂子が見られます。周縁部はゆるやかに波打った形状をしていますが、これは咲き始めの頃の方がより明瞭です(3番目の写真)。
内花被 : さじ状で直立し(3×2cm)、やや内巻き、赤紫色です。中心部には白色の筋が1本認められ、基部の部分(底)は白色です。花柱枝の長さより短いです。
花柱枝 : 外花被に沿うようにやや直立し、太く短いのが特徴です。白色の地で基部はクリーム色がかった黄色、周縁部は青紫色になり、先端部は2裂開してずい弁を形成します。ずい弁は爪状で水平に伸長し青紫色。先端部は平滑でやや内に巻きます。
備考 : 1856年(安政3年)以前に松平左金吾(菖翁)によって育成された「菖翁花」です。本人が著した『花菖蒲花銘』にも記載されている品種です。

外花被の白筋と、花柱枝の芯の白色が目立ちます。 写真撮影時の天候や、開花初期か、盛期かにより花色が若干異なります。開花初期は青紫色、その後、全体的に赤紫色になるようです。
この写真では、花被片が水平に伸長していますが、実際にはもっと波を打ったようになるようです。

「菖翁花」は、概して開花時期により花色が微妙に異なってきますが、いずれの場合でも、3英で平咲き、白色の筋が明瞭なこと、内花被片が直立することで区別が可能です。花径は12〜15cm、花茎長は60cm程度です。

本学での分子生物学的な研究でも、菖翁花であることが確認されました。古文書では「三英藤紺青白網」と形態的な特徴が述べられています(花菖蒲花銘)ので、この株は科学的にも古文書とも内容が合致する品種の一つです。
参考文献 :
  1. 小林孝至・和田 瞳・人見明佳・田淵俊人.2017.  アイソザイム解析から見た ハナショウブの起源ーノハナショウブとの比較ー.園芸学研究.16(別1):412.
  2. Kobayashi, T. and T.Tabuchi. 2024. Characteristics and apprication style of Japanese irises (Hana-soyubu) 1. Edo-group and Higo group. WOTZ Book. International Society for Horticultural Science. 98.
  3. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究.(第3報).明治神宮(林苑)のおける土質および水質について.園芸学研究 7(別2):578.
  4. 田淵俊人.2016.花菖蒲の品種分化の歴史とその原種ノハナショウブ. 園芸春秋. 11/12号:586.
  5. 田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫監修).p238−239.悠書 館,東京
  6. 田淵俊人.2016.江戸時代中期から後期―ハナショウブ栽培の飛躍的な発展と菖翁の業績、菖翁による品種改良―卓越した感性と先見の明.『花の品種改良の歴史』(監修:柴田道夫.悠書館,東京.238−240.
  7. 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸 第103集:46−50. 京都府立植物園.
  8. 冨野耕治.1967.東京(江戸)ハナショウブ.p82−83.泰文館,東京.

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