第4回
桜色より少し濃い赤 ルビーを作ることができるのです

平成19年度に玉川大学に採用され、機械情報システム学科・マネジメントサイエンス学科・エンジニアリングデザイン学科と学科を渡り歩いてきました、物理研究室の黒田です。玉川に来て丸8年がたちました。かつてある企業に8年半在職しましたので、今年を終えると今まで一番長い在職職場となりそうです。毎年迎える4月は、気持ち新たに仕事をしようと考える時期で、新入生の皆さんと同じ気分です。

今回はルビーを作れる装置について紹介しましょう。

ルビーとはアルミニウムと酸素からできていますが、ほんのちょっと、クロム、という元素を入れるときれいな赤色になります。ただしただ混ぜただけでは透明にはなりません。混合した粉末を固めてから、写真のような装置で約2000℃くらいに熱すると融点に達するので融けだします。左の写真の細い部分が融けている状態で、その部分が2000℃程度です。太いところは固まっている状態です。この棒状の全体を動かしてやると、融けた細い部分の温度が融点から少し下がって固まり始めます。この工程をゆっくり行うと単結晶という状態になり、こんなにきれいな透明で赤色の宝石になるのです。3Dプリンターとは少し違いますが、単結晶育成も3次元的に成長させる技術です。 単結晶という状態はいろいろなところで有効であり、ルビーを作る技術はさまざまに利用されています。実際には単結晶を用いた燃料電池材料や高温超伝導材料の開発を目指し、エネルギー問題に少しでも貢献したいと考えています。

その他、理科教育や物理学教育、それから知的財産権教育について研究しています。それについては次回から説明いたしましょう。

2015年5月1日 黒田潔教授