第7回
案ずるより産むが易し

物理研究室の水野です。本日は物理学教育に対する物理研究室の取り組みについて、少しお話しましょう。

物理研究室では、工学部の基礎科目としての物理学の講義から全学部向けの科学リテラシーとしての物理学の講義にいたるまで幅広く担当しています。その中でも工学部の講義に限れば、工学の基礎という位置づけであるため、1、2年生と顔を合わせることが多くなります。

そんな学生たちの中から「何をどう勉強すればいいかわからない」という声をこれまでよく耳にしてきました。確かに高等学校で学ぶ「物理」は、書店に行けば参考書や問題集がたくさん売っています。一方、大学で学ぶ「物理学」は、基礎的な内容であっても専門書となり、大きな書店に行かないと本すら置いていない場合もあります。しかも、専門書を開いても問題がたくさん載っているわけではなく、つい数か月前まで高校生だった学生諸君が戸惑うのも無理はありません。

その対策として、これまで授業後に授業の内容に沿って課題を出題してきました。一題一題が、授業内容をどれくらい理解できているか、授業内容の理解を深めるためにはどうしたらいいかなど様々な視点から知恵を絞って作った作品たちです。そんな物理研究室の財産を問題集として冊子にまとめました。それが写真の「物理学基礎問題集」、「物理学Ⅰ問題集」、「物理学Ⅱ問題集」の三冊です。それぞれ「物理学入門」、「物理学Ⅰ」、「物理学Ⅱ」という講義で参考書としています。

この三科目を履修している学生諸君の手元には、この問題集のどれかがあるはずです。「どう勉強すればいいかわからない」と嘆いている、そこのキミ。手元に置いて、眺めているだけでは何も身に付きません。まずは、冊子を開いて手を動かしてみてください。案ずるより産むが易し――案外、楽しいかもしれませんよ。

2015年6月15日 水野貴敏准教授