第22回
シリーズ「プラズマ物理」第1回:プラズマって何?

「プラズマ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。最近はほとんど見かけなくなりましたが、一時期、プラズマテレビ(ディスプレイ)が話題になったので、耳にしたことがあるかもしれません。

ちなみに、物質の3態というのはご存じですね。固体、液体、気体という物質の3つの状態のことです。水の場合、それぞれ氷、水、水蒸気にあたります。プラズマは、それに続く「物質の第4の状態」とよく言われます。固体は、原子(あるいは分子)ががっしりと結合して自由には動けない状態、液体は、ある程度自由に動くことができる状態、気体は、自由に動き回れる状態です。プラズマは、原子が電子とイオンに分かれて自由に動いている状態です。原子が電子とイオンに分かれることを「電離」といいます。そのため、プラズマは「電離気体」とも呼ばれます。

一般に、固体に熱を加えていくと、液体、気体と状態が変化していき、さらに熱を加えるとプラズマへと変化します。ただし、気体からプラズマへの変化は徐々に起こり、比較的温度が低いときは、電子やイオンと原子(あるいは分子)が共存しています。この状態のプラズマを「低温プラズマ(弱電離プラズマ)」といいます。さらに温度が高くなると、全ての原子(あるいは分子)が電離し、電子やイオンだけからなるプラズマとなります。これを「高温プラズマ(完全電離プラズマ)」といいます。

厳密には、どんな気体も一部は電離をしているので、電離した気体を全てプラズマと呼ぶわけにはいきません。そこで、「準中性」と「集団的ふるまい」という二つのキーワードが、プラズマと呼ぶために重要となってきます。これらについてはまた別の機会にお話ししましょう。

2016年2月15日 水野貴敏准教授