第28回
立方体の最遠点

立方体の辺の中点から歩き始めてその立方体の表面を歩くとき、最も遠くにある点は裏側の辺を三等分する二点です。つまり図の白丸から表面を歩いて最も遠い点は図の黒丸二点ということであり、真裏にあたるそれらの真ん中の点ではありません。

このことは、上または下を歩く方が近いか横を歩く方が近いかの境い目がこの二点であることからわかります。頂点から最も遠い点が反対側の頂点であり、面の中心から最も遠い点が裏面の中心であることと比べると奇妙な感じがしますが、こういう直観と合わないようなことが起こるのも数学の魅力の一つだと思います。

2010年6月9日 佐藤健治准教授