第30回
“知的財産権”ってなに?

前回、“知的財産権教育”について、少し触れました。まず“知的財産権”とはなんでしょうか。堅く言うならば、「著作権」「特許権」「意匠権」「商標権」など法律で保護することが認められている権利のことです。平たく言うなら、「小説、評論、作文」「青色ダイオード、薬」「商品のデザイン」「商品につけるロゴ」などがそれに当たります。これらは、もちろん商品として形になっていることも多いのですが、その大本には形がなく、無体物財産権とも呼ばれます。要するに、各個人のアイディアのことです。各個人のアイディアは各個人の財産であるからこれをもとに商売をやってもいいし、逆に言うなら人様のアイディアを勝手に使って商売をして儲けてはいけない、と言うことになります。財産権の一部であり、このことを法律に則って遵守することは、人権を守ることと同義も言われています。

したがって“知的財産権教育”とは、アイディアを創造してよい商品を作ることと、模倣してはいけないこと、の両面から教育を行うということになります。現在、この“知的財産権教育”の効果的な方法について研究しています。ただ法律を読むだけでは、もちろんそれも重要なのですが、法律の専門家でもない限り余り身につきません。対象としては大学生・大学院生はもとより、小中高の児童生徒をも含みます。これから少子高齢化が進む我が国において、我が国のレベルを維持向上させるためには、創造力豊かな人材が求められてくるでしょう。学生の皆さんも、“知的財産権”の重要性を理解して、創造力豊かな人材として社会へ羽ばたいて下さい。そのための効果的な理解方法を一緒に研究できればと考えています。

今回は文章だけになってしまいました。もう一つ理科教育や物理学教育ついて研究していますが、それは次回に説明いたしましょう。

2010年7月21日 黒田潔准教授