第221回
ツェルメロの定理

私が担当しているマネジメントサイエンス学科の専門科目『意思決定論』では「ゲーム理論」という意思決定に関する理論を教えているのですが、学生の関心を引くための関連トピックとして「ツェルメロの定理」という数学の定理を紹介しています。厳密な説明は省略しますが、ツェルメロの定理は身近なもので述べると「チェスや将棋のようなゲームは、先手必勝または後手必勝、あるいはどちらも少なくとも引き分けにすることができるのいずれかである」という命題です(具体的な必勝法がわかるというわけではないことにご注意ください)。参考のためツェルメロの定理が解説されている日本語の専門書として

  • R. J. オーマン(丸山徹・立石寛訳)『ゲーム論の基礎』勁草書房
  • 川越敏司『行動ゲーム理論入門 第2版』NTT出版

を挙げておきます。

ツェルメロの定理に関連して、授業ではさらに2018年1月1日の朝日新聞朝刊の『「1対1」が指す未来 対談、中学生棋士・藤井聡太四段×経済学者・安田洋祐さん』という記事を紹介しています。先手必勝・後手必勝に関わる話題のところで藤井聡太さんの凄さの一面を見ることができます。この記事を初めて扱った2019年度の授業のスライドでは藤井聡太さんを「藤井聡太七段(当時四段)」と紹介したのですが、今年度のスライドではついに「藤井聡太8冠(当時四段)」となりました。最近“観る将”になりつつある私は感慨深いものがあります。また、学生の発言で気づいたのですが、今年の4年生は藤井聡太さんと同い年なのですね。

上記の記事は玉川大学の学生であれば学内から「教育学術情報図書館のページ」→「新聞記事を読む」→「朝日新聞クロスサーチ」で読むことができます。「ツェルメロ」で検索してみてください。

2024年6月13日 三木秀夫准教授