大学4年生だった頃、ふとしたことからカメラが趣味になりました。その後研究が忙しくなって20年近くその趣味は放置していたのですが、ここ数年で再び写真熱が高まりまして、つい最近も1台カメラを買い足してしまいました(画像:FUJIFILM GFX100S II + GF80mm F1.7 R WR)。もっぱら人物を被写体にしています。
人物を撮っていると「美しさ」というものは、やはり気になります。ビジネス(商売)では広告にどのようなモデルさんを起用するかが売上に大きく影響することもあります。モデルさんの印象が商品やサービスに伝搬するこの効果は「ハロー効果(halo effect)」と呼ばれる心理現象です。有り体に言えば「美しいモデルさんが手にした商品は美しく魅力的に感じてしまう」わけです。
2013年にはアメリカの心理学者が「人物は独りでいるときより、集団でいるときの方がより魅力的に映る」という論文を発表しました*。この効果は(少々失礼ながら)「チアリーダー効果(cheerleader effect)」と呼ばれています。そこで気になるのが、自分をより魅力的に見せるにはどんな集団に入り込めばいいのだろう?という問いです。
ハロー効果が言うように、魅力的な集団に混じれば周囲の魅力が自分にも漏れ伝わって、魅力的に見せてくれるのでしょうか。でも、周りがあまりに魅力的だとその中の自分が比較されてしまって、よりみすぼらしく映ってしまう可能性はないでしょうか。この問題、実は同化効果と対比効果と呼ばれるものなのですが、その線引きはまだわかっていません。どなたかこんなネタで卒業研究をしてみませんか?高橋ゼミではこういったアイデアも大歓迎です。
*Walker D & Vul E. Hierarchical Encoding Makes Individuals in a Group Seem More Attractive. Psychological Science, 25(1) 230-235. https://doi.org/10.1177/0956797613497969
2024年7月12日 高橋宗良准教授