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こたつにミカン

中国産(左)と日本産(右)のミカン

「炬燵にミカン」といえば日本の冬の風物詩の一つですね。日本人に馴染み深いこのミカンの和名はウンシュウミカンといい、明治時代以降に国内での栽培が広がってきた種類です。ミカンを含むカンキツ類は、諸説有る中でもインド東北部付近が起源とされており、ブンタンやレモン、オレンジなどに分かれながら世界各地に広がってきました。ウンシュウミカンがどのように生れたのかについては、実は今でもよくわかっていません。ただ、マンダリンと呼ばれるグループのカンキツ類をお坊さんが中国から持ちかえり、現在の鹿児島県でその種から誕生したもののようなので、ウンシュウミカンは日本生まれのミカンとされています。

昨今、海外から安価な農産物の輸入が進み、食料自給率の低下が多方面で懸念されていますが、ウンシュウミカンについては90%以上の自給率を保っています。ウンシュウミカンは世界を見渡しても、手で簡単にむいて食べることができる珍しいカンキツ類であり、日本はその産地となっています。このミカンを好む外国人もおり、実は明治18年に初めて北米に向けてウンシュウミカンが輸出されたのを始めに、今では年間約2,100Tが、カナダ向けに輸出されています。ウンシュウミカンの英名は、生まれの由来からSatsuma mandarinといいますが、現地ではジャパニーズマンダリンやテレビを見ながら食べられるTVオレンジなど呼ばれています。また、12~1月に多く輸出されることからクリスマスオレンジとしても親しまれています。

玉川ナナイモキャンパス周辺のマーケットでもシーズンには、20個ほどのミカン箱が果物売り場に山積みになります。ただ、最近は中国産も多く、価格が日本製より安価なため、日本産はやや押され気味ですが、品質で勝負をしてもらいたいところです。日本では輸送費などを含めると国内で販売するよりも生産者の利益が減ってしまうため、輸出用の品物の確保が年々難しくなってきています。国内のミカンの生産量自体も20年で半分程度に減少していることを考えると、このような現状も仕方のないことではありますが、海の向こうでも日本生まれの果物が楽しみにされていることを思うと、今まで培われてきたこの流れを今の時代にあわせる道も探せたらと思います。