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節足動物に共生するボルバキア

ボルバキアの寄生が見つかったダンダラテントウ

近年、昆虫を含む節足動物に共生するボルバキアという微生物が話題になっています。ボルバキアはリケッチア科に属するバクテリアであり、宿主の細胞質中に生息し、宿主の繁殖に関して操作をすることが分かっています。ボルバキアによる宿主操作には4種類、すなわち細胞質不和合(不稔)、単為生殖の誘導、雄の雌化、雄殺しが知られています。私たちの研究室で飼っているダンダラテントウムシにも雄殺しの系統が見つかり、ボルバキアに感染している雌の産んだ卵は、卵期に雄がすべて死んで、成虫は雌しか羽化しません。どうして雄だけが殺されるのか?そのメカニズムはまだわかっていません。昨年度の卒業研究で、玉川学園に生息する昆虫を調べてもらったところ、20種のうち10種がボルバキアに感染しており、全調査個体730個体の感染率は26.2%でした。ボルバキアが行う繁殖操作は単為生殖の誘導以外は宿主の繁栄にとって有利とは考えにくく、宿主にとって不利であるということは寄生者の繁栄にも不利であり、このような有利とは思えない共生関係がどうして続くのか?不思議だらけで、今後の研究課題は尽きません。