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カンキツの新品種‘湘南ゴールド’の普及をめざして

「平成20年4月21日  読売新聞 クローズアップ
「湘南ゴールド」普及を目指す研究員」より
-神奈川県農業技術センターに在職時-

新たに農学部に来た浅田です。20年ほど前に玉川を卒業してからは神奈川県の農業振興の仕事に就いいしました。学生時代は、「遺伝的に同じはずのメスが、どうやって女王蜂と働き蜂に分かれるのか?」をテーマにミツバチ研究を指導していただきましたが、色々な事にすぐ頭を突っ込む癖があり、自分のテーマをしばしば休み、スズメバチ、アシナガバチ、ニホンミツバチの巣の観察や採集などで、先生や先輩方の後をついて回っていました。県の研究員時代には、2つの分野を担当しました。最初は有用昆虫の研究です。欧州から施設トマトの受粉昆虫としてマルハナバチが導入され、これが外来種であったため国内での野生化が問題視されたころ、玉川の先生からこの問題に取り組まないかとの誘いをいただき、在来種のマルハナバチの生態、飼育、利用、トマトの受粉管理などの仕事を進め、なんとか室内飼育の目途を立てることができました。次は、県西部のカンキツ栽培地帯の試験場で、その栽培と産地育成を命じられました。昆虫から果樹栽培への転身でしたが、実は、学生時代に久志農場も何回かお世話になっており、私にとってミカン山はハチとは別の意味で好きなフィールドでしたが、学生時代の経験がそのまま就職後の研究テーマになったのは全くの偶然です。ここ数年は、県育成品種である「湘南ゴールド」というカンキツ類の現地普及にあたり、生産者、JAとは栽培技術を、消費者や流通関係者には販売戦略を、関連企業の方々には商品開発について議論を重ね、まさに生産から販売までを考える実践研究を経験できました。生物環境システム学科は、生物の多様性と多面的な機能を基盤とした先端的科学研究と地球環境保全の調査を重視し、総合的な環境科学観の養成をめざした部門であり、これまで農業生産の現場で過ごした身としては、期待されながらも産業としては厳しい農業にも、生産と環境との応答といった観点からの研究活動で新たな夢を見出したいと考えています。

浅田真一