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農場にインベーダー?

台風の襲来が多く、風の強い日も多いので、鹿児島県沿岸部では果樹栽培において防風垣はなくてはならないものです。久志農場ではポンカンの木を守るために、成長が遅く、刈込みに強いイヌマキを植えてあります。このイヌマキは防風垣として優れているので、鹿児島県のほとんどの果樹園や庭の生垣として使われています。しかし、ここ数年、キオビエダシャクというイヌマキを食害する蛾が大量発生するようになりました。本来台湾や南西諸島に生息する南方系の蛾なのですが、近年の温暖化の影響か、急速に生息地を北上しています。

このキオビエダシャクはおびただしい数の幼虫が発生し、木を揺すると糸でぶら下がった幼虫の簾(すだれ)が出来るほど、人間に対しての毒はないのですが見ているだけでも気持ちが悪くなります。幼虫は成長するにつれ摂食量が増えてきますので、気づいた時にはすべての葉が食い尽くされて、場合によっては枯れてしまうこともあります。

本来自然の生態系では必ず天敵がいて、それによって捕食されバランスが保たれているのですが、この幼虫は体内に毒を蓄えているようで、鳥や捕食性昆虫によって食べられることがなく、どんどん増殖してしまいます。そのため仕方なく殺虫剤の散布をしているところです。見た目はきれいな蛾ですが、我々にとっては、まさにインベーダーです。

キオビエダシャクの幼虫
キオビエダシャク