みんなの広場「日本のお友達15

玉川学園・玉川大学

ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.

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川崎市三田小学校5年の美夏です。学校の課題で、お米の銘柄の由来を調べています。たとえば、新潟のコシヒカリは何故コシヒカリと言う名称になったのか等です。もし分かれば教えてください。よろしくお願いします。

メールをありがとう.先生は今仕事で鹿児島に来ています.くわしい説明は帰ってから書きます.(月曜日です)

コシヒカリは新潟にある国の農業試験場で作られました.国の試験場で出来たお米にはカタカナの名前がつきますから.コシヒカリが正式な名前です.もともとの意味は,新潟は「越」(こし)の国といい,そこに光をつけたわけです.ですから漢字で書くと「越光」になります.新潟で出来たお米が育って行くように,試験場の人がねがいをこめてつけた名前ですね.

鹿児島から帰ってきましたので続きを答えます.

コシヒカリは分かりましたね.このようにカタカナで書いてあったり「農林○○号」と書いてある品種は全て国の試験場で作られたものです.ですから「はえぬき」とか「あきた小町」とか,「どんとこい」なんかは県の試験場で作られたために,ひらがなとか漢字が使われています.

しかしこれも少しずつゆるやかになって,いまでは国の試験場作られた品種にもカタカナ以外の文字が使われるようになりました.「ひとめぼれ」がそうです.

これからは,お米もブランドイメージで売られる時代になります.やっと競争が始まったわけですね.今後は外国との競争で値段を安くしたり美味しくしないと売れなくなってしまいます.これは消費者にとっては嬉しいことですが農家にとっては厳しいものです.広い土地で大きな機械で農業できるところ以外はお米作りが難しくなります.君が大人になる頃にはお米は安い食べ物になります.と,同時に田舎の風景も変わることでしょう.

最近「棚田のお米は美味しい」ということが雑誌に出たり,テレビでとりあげられていますが,あれも小さな耕地面積のところや機械がしにくい所の生き残り策のひとつです.

今後は消費者の知識が増えて,なにをどう選ぶかによって,小さな田んぼは割に合わないので米作りが行われなくなるでしょう.しかし,生産者と消費者,ともに日本の国民です.どうすればうまくいくでしょう?美夏さんも考えてみてください.

ゲンボー先生


初めてメールいたします.私は、目黒区立八雲小学校5年の悠です。

学校で、輸入米について調べて発表します.とりあえず次のことが知りたいので教えてください.

1.外国から輸入されているお米は、どれくらいですか?(量)

2.輸入米の主な使われ方は?(うちでは、輸入米はほとんど食べません.

友達の家でも食べないそうです.いったい輸入米はどこでどんな風に使われているのでしょうか?)

 

ゲンボー先生

悠さんへご返事がおそくなってごめんなさい.

日本は常に米不足の国でした.ところが作ったお米はすべて国が買い上げる制度ができて,農家の人も積極的にお米を作るようになってお米が余ってくるようなりました.そこで政府は1969年に減反といって,お米を作る田んぼの面積を少なくする政策をとりました.国内の農家に生産量を減らせというのですから,当然輸入も禁止されました.ところが競争が無かった日本のお米の価格は世界の平均価格より10倍以上も高いものになってしまいました.これを知った消費者が政府の政策を批判したことと,自分の国のお米を売りたいアメリカからの圧力があって,1994年に日本はお米の輸入を再開することになりました.このことについては別のお友達が質問してきた「お米の自由化」の中に書いてありますから,それをよく読んでください.

1995年 45万トン

1996年 50万トン

1997年 45万トン

1998年 75万トン

これが輸入量です.はじめは決まった量を輸入して徐々に増やして行く方法が取られましたが,これだと10年ぐらいすると安い外国のお米が大量に入って,日本の農家が困ります.そこで1999年4月から関税方式にかわりました.お米に高い税金をかけるという方法です.

政府はいっぺんに大量の輸入米が入ってこないようにしています.(1kgあたり351円/1999年.)それは日本の米農家を守るためです.しかし,これはいつまでも続けられません.君達が大人になる頃には安くてうまい外国のお米が大量に売られるようになるはずです.

現段階では輸入米は米農家を守るために一般のお米のようにお店では売られていません.では現在の輸入米はどのように使われているのでしょう.

援助米=食料に困っている国にお米を援助しています.1998年の援助米15万トン

のうち,輸入米は11万トン使われました.

飼料米=家畜のえさに混ぜて使われます.

醸造米=アルコールを作るのに使われます.

原料米=「おせんべい」や「ビーフン」などのお米を原料とする食べ物に使われます.

ブレンド米=一般のお米に混ぜて食べられています.君達の食べている給食のご飯にも多分入っているはずです.

今は日陰者あつかいの輸入米ですが,さっきも書いたように,そのうち必ず一般の店頭に並ぶことは間違いありません.消費者としては選ぶ機会が増えるわけですから歓迎ですね.しかし,生産者としてはどうでしょう?

悠さんは輸入米の事を調べていますが,こうしたことも考えてみてください.

お勉強を頑張ってくださいね.

ゲンボー先生

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輸入米の国別ランキング(小学生低学年向けの説明です)

Dear ゲンボー先生

たくさんの情報ありがとうございました。早速、お父さん、お母さんと日本のお米について話し合ってみました。お米は、日本人にとってとっても大切な主食だということに気づきました。そんなお米の生産を外国に頼ってしまうのは良くないことだと思います。

お米45万トンとはどのくらいだろう・・・4人家族が1年に200Kg食べるとしたら、225万世帯が1年分に食べる量・・・すごいたくさんのお米を輸入しなければいけないとか、戦争がおこって輸入ができなくなってしまったら、日本人は何を食べたらいいんだろう??とか、政府は農家を優遇しすぎるとか、アメリカが輸入しろというなら、お米ではなくて、フルーツとか、別のものにしたほうがいい、とか、いろいろな話に発展してしまいました。

先生からの情報を元に、輸入米について、来週学校で発表するつもりです。

これからもいろいろ教えてください。

悠より


仙台市立岡田小学校 6年1組 代表児童

私達は今米について調べています。そこで質問があります。外国の米の作り方について知りたいのですが,良くわかりません。良かったら教えてください。

ゲンボー先生

みなさん,メールを有難う.早速答えたいのですが,外国といっても沢山あって一言では書ききれません.

そこで,アメリカ合衆国の米作りについてお話します.

合衆国を代表する農業を「大農法」(だいのうほう)と呼んでいます.広い土地を少ない人数で大型の機械を使い,大量に作る方法ですね.(農地面積は日本の80倍,農業人口が日本の3分1です)

お米も同じように広い田んぼで作られています.

まず,日本のように田んぼごとのあぜ道がありません.広いところを「でかい機械」で作業するのですからそんなものはじゃまなだけですね.しかし,そうなると困ることがあります.水は高いところから低いところへ流れていきますから,区切りがないと一ヶ所に水がたまってしまいますね.

そこで,土をけずったり,埋めたりしながら同じ高さのところを作り出す必要がでてきます.

ブルドーザーの後ろに土をけずるためのスクレーパーという機械をつなげます.この機械には360度の水平に光を放つレーザー光線を感じて,いつも水平に土地を平らにする機能があります.

こうした機械を何台も使って,広い土地を平らにしていきます.そうするとどういう形の田んぼが出来るでしょう?地図を見たことがありますか?高さを表す線がありますね,等高線といいます.土地を同じ高さにしていくと,ちょうど等高線のように曲がった形になります.アメリカの田んぼは四角くありません.等高線に沿った形の田んぼになるのです.先生は飛行機の上から見ましたが,まるで細長い湖のように見えました.

お米の種である籾(もみ)は飛行機でまきます.日本みたいな田植えはないのです.そんなことしていたら何ヶ月もかかってしまうからです.肥料も農薬も全て飛行機です.ちなみにちょっとした農家なら自分のうちに飛行機があります.自分で整備して自分で操縦するのです.

刈り入れはコンバインという機械を使います.日本でも八郎潟や庄内平野で使っていますが,その倍以上はある大型のコンバインです.コンバインが刈り入れしながら,となりを走るトラックにお米をどんどん入れていきます.収穫されたお米はいったん,自分の家の倉庫にしまわれます.

農家の人はコンピュータを使ったり,協同組合に行ってその時々のお米の値段を調べて,一番高く売れるときに売ります.いっぺんに全部売る人もいれば何回かに分けて売る人もいます.そうそう,アメリカの農民は自分達の人工衛星を持っていて,世界中の気候や他の国の農業生産を調査しています.(みんなで持っているのですよ.一軒ずつ持っているわけではありません)そうして何をどのくらい作ればもうかるかを自分自身の判断で考えます.

こんなおおざっぱな作り方をしているから,単位面積あたりの収穫量は日本より少ないだろうと思いきや,日本の平均より多いのです.びっくりですね〜

しかし,「まずいんだろう」と思うでしょう?これが結構うまいんです.それに今アメリカは日本人好みのお米を作ろうと頑張って品種改良をしています.

コシヒカリは日本人に最も好まれるお米ですが,茎が弱くて風や雨ですぐに倒れてしまいます.倒れたお米は機械では収穫できません.そこでアメリカの試験場では,穂の部分(つまりお米の部分)はコシヒカリで,茎の部分は強い品種をかけ合わせた,機械で収穫できるコシヒカリを開発しています.これはもう出来ています.

あとは日本の輸入量が増えるのを待つばかりです.現在日本は輸入米に高い関税をかけていますが,10年後には日本のお米より安くなるでしょう.そのときに,スーパーコシヒカリが大量に入ってくるのです.

※注意:「スーパーコシヒカリ」は先生が勝手にそう呼んでいるだけですからね.

国が違えば農業だってこんなに違うのです.

こういう話しを聞くとなんだか日本の農業が貧しくみみっちく感じられますが,日本だって規模はアメリカに負けますが,機械化がどんどん進んでいます.さっき書いた八郎潟や庄内平野,あるいは石狩平野などでは同じような農業が行われるはずです.

日本の農業には他にも良いところはいっぱいありますから,そういうことも勉強してください.

では頑張ってね!!!

ゲンボー先生

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