みんなの広場「日本のお友達24

玉川学園・玉川大学

ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.

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米の病気・害虫をくわしくおしえてください。お願いします!!(横土)

ゲンボー先生

メールをありがとう.お米には様々な病気があり,たくさんの虫がつきます.数え上げたらキリがないくらいです.

そのなかから代表的なものを教えましょう.

(いもち病)=苗の時期は「苗いもち」,おおきくなって葉っぱにできるのを「葉いもち」穂にできるのを「穂いもち」といいます.菌が発生して白く枯れたようになってしまいます.27〜28度でぬれている状態が10時間以上続く時に発生します.特に葉いもちはおそろしく,ほっておくと田んぼ全体が枯れてしまいます.

(紋枯病=もんがれびょう)梅雨の時期に発生します.葉っぱのさやの部分が枯れて,稲全体に広がるとお米のとれる量がグンと減ってしまいます.

(縞葉枯病=しまはかれびょう)ヒメトビウンカと言う虫がウィルスを運んでおこる病気です .葉や茎がしまもようのように白くなって枯れてしまう病気です.

(ニカメイガ) 卵を稲に産み,かえった幼虫が稲の茎を中から食べてしまう虫です.

(トビイロウンカ )梅雨時にジェット気流にのって中国からやってきます(スゴイ!)稲の水分や栄養を吸い取ってしまう虫です.

(米カメムシ類)稲の水分や栄養を吸い取ってしまう虫です.吸い取られた部分から少しずつ枯れていきます.   

(ヒメトビウンカ ) 水分や養分をすう時に縞葉枯病をおこすウィルスを稲の中にいれてしまいます.

私たちが見る田んぼの稲はいつも青々としていますが,それは農家の人たちが害虫や病気と戦った結果なのです.

農薬のやり過ぎが問題になって,「無農薬」でなければいけない,というような感じになっていますが,実際に農薬を使わなくなると,あらゆる農作物が病害虫にやられてしまいます.

もちろん,有機栽培や無農薬栽培はすばらしいことですが,大きな手間がかかるし農産物の値段も高くなってしまいます.世界には60億人の人が住んでいますが,そのなかで一日の食事が満足に食べられる人々は1割程度しかいません.つまり大部分の人が飢えているということで,毎年1200万人の子供が餓死しています.

こうした状況で「農薬をつかってはいけない」と言えますか?

どんなものでも使い方によって,良くも悪くもなります.農薬もそのうちの一つです.人間に害のないような農薬や使い方が大切ですね.

ゲンボー先生


ゲンボー先生教えて下さい。白米の穂(籾)の色は品種(コシヒカリ、アキタコマチ、ハナエチゼン、アサノヒカリ、ドントコイ、ホシノユメ、ヒトメボレ、ハエヌキ、ヒノヒカリ、ニホンバレ等)によって違いはあるのでしょうか?教えて下さい宜しくお願い致します。Omoriより

ゲンボー先生

メールをありがとう.

籾の色には黒.緑.紫.薄茶がありますが,普通の日本品種は薄茶色でほとんど差はありません.収穫時の天候が悪かったり,熟れ過ぎてしまった時には茶色が濃くなります.

ゲンボー先生


静岡県磐田南小学校  慎哉

昔の米作りに使った道具を教えてください

ゲンボー先生

慎哉君,メールをありがとう.

昔と言うのはいつのことですか?時代によって多少違ってきますので先生は江戸時代くらいのことを君に教えましょう.

「鍬」(くわ)=一番大切な農具だと思います.いろんな種類がありますが土をたがやす道具で,今でも売っているし使われている道具です.

「備中鍬」(びっちゅうぐわ=万能=まんのう,とも言う)先が二つとか三つとか四つに別れているもので固い土などをおこす時にとても便利なくわです.現在では「三本ぐわ」とか「四本ぐわ」などと呼ばれています.見たことがありますか?

「平鍬」(ひらぐわ)一枚刃のくわです.土をおこしたり平にしたり「あぜ」(田んぼと田んぼの境いめ)を作るのに便利です.今のものは刃がすべて鉄でできていますが,昔のものは木でできていて,先のほうだけが鉄でできていました. 大小さまざまな大きさのものがあります.

「箕」(み)大きなチリとりみたいな形をしています.土を入れたり肥料を入れたり,種をいれたり,収穫(しゅうかく=とれたもの)したものを入れたりと,とても便利な道具です.昔のものは竹でできているものがほとんどですが,現代ではプラスチックでできています.オレンジ色や緑色が多いみたいですね.今でも使っています.

「千歯こき」(せんばこき)鉄でできた「くし」のお化けみたいな道具.尖った歯の部分を上にして,麦や稲の穂を取り分ける道具.

「唐箕」( とうみ)ハンドルを手や足で回して脱穀した麦や米の籾を飛ばす道具.

あとは石臼(いしうす)や,鎌(かま),鉈(なた)などがありますが,これらの道具は博物館や民族資料館にいくと実物を見ることができます.君の住む磐田にもそうした所があると思いますからぜひ行ってみて下さい.百聞は一見しかずです.

ゲンボー先生


こんにちは。中学2年の増井です。今、社会でディベートをやることになりました。

米の自由化問題に反対という立場で、反対尋問です。そこで、なにかいい案があったら教えていただきたいのですが、「米に自由化に賛成意見の人が答えにつまるような、尋問があったら教えて下さい。」

ディベートでぜひ勝ちたいので、よろしくお願いします!!!

ゲンボー先生

増井さん.メールをありがとう.ディベートかあ,おもしろそうだね.

ディベートで勝つ最大のポイントは相手をこちらの立場に立たせてしまうことです.ですから.

1.自分の立場を理解して,訴える最大のポイントを一つに絞り,相手をこちらのペースに引き込んでしまうことです.

2.次に相手の立場を理解し,相手が絞るポイントを理解することです.自分だったらこう言うだろうということをあらかじめ持っていることです.

孫子に曰く「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です.

米の自由化は歴史の必然ですから,君の立場ははじめから弱いことをまず受け入れてください.

先生のページの,「お米の自由化」に関するやりとりをじっくり読んで,なぜ自由化されるのかを完全に理解してください.あれを読めば自由化がなぜおこなわれたのかが分かります.

しかし,君はその反対の立場なんでしょう.その場合の最大,最強の論旨は次のことだと思います.

1.日本で生き残れる米作り農家は,アメリカのような広い土地と大型機械で耕作するところに限られてしまう.ということ.

かつて米価は国が決め,どんな山奥でもどんなに耕地面積が狭くても,作ったら作っただけの安定した利益を得ることができました.他の作物はその年の出来不出来や量によって価格が上下しますが,お米の価格は決まっていたからです.それは昭和30年代の後半まで日本が米不足の国だったからなのです.政府は主食であるお米の100%自給を目標にしていましたから,そういう法律を作ってお米を作ることを奨励しました.この法律を「食糧管理法」といいます.略して食管法(しょっかんほう)です.

食管法のおかげで小さな耕地面積の農家も生活していくことができたのです.一方そのために日本のお米は国際価格の10倍という異常な 値段になってしまいました.(これは相手が必ずついてくるところですよ)

お米の自由化は消費者にとっては歓迎すべきことですが,生産者つまり農家にとっては受け入れがたいことがらなのです.

このまま安い外国のお米が入ってくると,狭い耕地面積の農家が消えていくことになります.こうした農家の人達も私たちと同じ日本国民です.

日本の風景も変わります.5月の風にそよぐ青田,10月の黄金色に輝く田圃の風景はあと10年くらいで見られなくなりますね.残るのはあぜ道のない広い田圃か,自家米といって自分の家や親戚で食べる分だけの田圃になります.

風景が変わるのはいいとしても,日本が貧乏になったり戦争が起きたらどうなりますか?

今日の日本はコンピュータや車やカメラといった工業製品を売って,野菜やお肉やお米を輸入していますね.車やコンピュータがなくても生きていかれますが,農産物の輸入が途絶えたらとたんに飢えが始まるのです.

現在の日本の農産物生産量では4000万人を食べさせるのが精一杯です.つまりそういうことが起きたら8000万人が餓死するのです.つまり3人のうち二人が死ぬと言うことです.

これをクラスでやってごらん.一人,二人,三人目のあなたは生きていけるけど前の二人は餓死しちゃうってね.餓死って知っていますか?体中の肉がこそげおちて,おなかがふくらんで(寄生虫や内臓の病気で)死んでいくのです.とても悲惨ですがこうしてメールを書いている今,このときにも世界のどこかで餓死していく人がいるのですよ.

ですから主食であるお米だけは100%自給すべきという意見は今でも根強く残っています.現在のお米や食料の自由化は,日本がいつまでも豊かで戦争は絶対にないという条件の下ではじめて成り立っていることです.

しかし,いつまでも豊か,いつまでも平和と言う保証はどこにもありません.

さあ,みんなはどうすればいいと考えるのでしょう.

多少高くてもお米の100%自給を維持するか・・・それともこのままいくか・・・

そうなったら,そのときにまたお米を作ればいい,という意見は必ず出ると思いますが,いったん荒れた農地を回復するには最低で三年かかります.人間は一ヶ月食べないと死にます.

ちょっとこわいけど,このあたりが一番勝てそうな論拠です.相手を国の安全ということに引き込めば君に有利になります.

あとは,農家の人も同じ国民.君たちの親戚にも農家の一軒や二軒はあるでしょう・・おじいちゃんやおばあちゃんが食べていけなくなるのですよ・・と,その立場に立たせるといい.

でも相手はきっとこういうでしょう.

お肉だってオレンジだってやすくなったじゃないか.そのためにミカン農家や酪農家がいなくなったか?お米の農家もおいしいミカンや高級な牛肉を作った努力と同じようにがんばればいいんだ.と・・・これが出てきちゃうとちょっと弱い.全くその通りだからです.でもここで引き下がったら君たちの負け..

お米はミカンや牛肉とはちょっと違うのです.なぜなら「コシヒカリ」だってなんだって同じように外国で作ることが可能だからです.超特別なお米は生き残りますがそうでないのはだめですね・・・

だからこそ,農家を何らかの形で保護しなくてはならないのです.

しかし,その保護が今までのやりかたではだめなんですね.補助金や高い値段で買うような過保護なことをしたために農家に競争力がなくなり,高い米になってしまったのですから,ここに戻るような提案では君たちの負けです.アメリカでもヨーロッパでも自国の農業を保護するための法律はあります.ですからどんな法律があるかも1〜2知っておく必要がありますよ.

やすくておいしいお米をどうすれば作ることができるのかを,最終的な結論の前に持ってくることですね.ディベートは論理的に物事を考え戦うわけですから,感情的になったり,曖昧な言い方では負けてしまいます.ちゃんとしたデータを持って説明し相手のもろいところをついていくのです.ですから最低でも何年後に自給率がどのくらい下がるかくらいの数字はつかんでおいてください.

最後はただの論争で終わらせるのではなく,先生が書いたように「ではどうすればいいのか?」このことを皆で考えていくことが大切なのです.そこのことを忘れたディベートはただの言葉遊びで本来のディベートとは違うものになってしまいます.

かつて貧しかった日本は資源や食料や市場を求めて軍隊をアジアに送り,力ずくで植民地を広げようとしました.戦争の時代ですね.そういう時代に戻らないためにも農業,とりわけ主食のお米のことは大切に考えなくてはならないのです.一時の利益を考えるのではなく,長い目で見て日本の国はどうあるべきかもテーマの中には含まれていることを忘れないでください.

では,がんばって戦ってください.できれば結果を教えてください.楽しみにしています.

ゲンボー先生

この説明を読んだ人に.

先生はディベートの方法について教えていますが,このやりとりの中に今日のお米の問題を立場をかえて説明しています.特に大切なのは互いの立場を尊重して「どうするべきか」を君なりに考えることだと先生は思います.

「改正食糧法」のページに行く.平成16年4月1日からお米の流通が大きくかわりました.必見のページです.

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