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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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ごしょむらさき

御所紫

Goshomurasaki

肥後系 【花容】平咲きで先端垂れる 【英数】六英 【花色】濃い紫色
【開花時期】6月15日(2019年開花)

分類 : 肥後系花菖蒲の「古花」で、平咲きの六英花です。
花被 : 外花被は円形、内花被花は楕円形で、先端が垂れる平咲きです。周縁部は開花 に伴ってやや皺が入り内巻きになりますが、花柱枝(雌蕊)とその中の雄蕊の 位置が左右正しく、かつ花容の中に整然としています。これを肥後花菖蒲では 「正花(せいか)」と呼んでいます。この写真は、その形質が比較的良く示され ているように開花しています。肥後花菖蒲では、花被片の形質が良好で良く発 達している、丸味を帯びて雄大に広がる、などの特徴が要求されます。
雄蕊 : この写真の花では、花柱枝の中心分から、雌蕊が1本発達し、先端部のずい弁 が花被片のようになっています。これを「働花」と言っていますが、このよう に花被片に「狂い」が多く生じる品種もあります。花の底から立ち上がるよう にして突出しています(→大空(おおぞら)を参照)。
花柱枝 : 紫色の地ですが、中心部は淡い紫色がかった白色に近く、先端部は裂開してその先にはずい弁が発達しています。ずい弁は花被片と並行に伸長しているので、「寝たような形」に見えます。ずい弁の形状は細長いさじ状で、先端部には細かい鋸歯が見られます。すい弁の色は花被片と同じ紫色ですが、基部付近は白色になります。
備考 : 草丈は約55cmで、花径は18cmの中輪花です。全体的に平咲きに見えるので、 遠目に見ると非常に大きく、かつ豪華で大らかに開花しているように見えま す。弁質が非常に厚いので、梅雨時期に気温が低い場合には、2〜3日ほぼ同じ 紫色を保ちます。 この品種は、「肥後古花」に分類されますが、育成次期は不明です。「満月会」 の流れを継ぐ品種として貴重な品種であると推察されます。肥後花菖蒲を広く 普及した人物は西田信常氏ですが(→大空参照)、この「御所紫」の由来は種苗 商社の発売した品種となっています。 なお、本品種と同名の花菖蒲に、宮沢文吾博士が育成した品種がありますが (→大船系参照)、こちらは三英花の江戸系品種で、花被片の花色は青紫色です が、淡色の筋が入るので容易に区別が可能です。
参考文献 : 富野耕治.1967.ハナショウブ.泰文館,東京.pp70−103.
田淵俊人.2016.肥後ハナショウブの改良家―熊本ハナショウブと西田信常氏業績.柴田道夫監修『花の品種改良の日本史』悠書館,東京.248−250.

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