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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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のぼりりゅう

昇竜(昇龍)

Noboriryu

江戸系 【花容】花被片が複雑に発達 【英数】八重咲き(多弁) 【花色】紫青色に紺色を帯びた白色の絞り(かすり)  【開花時期】6月中旬(2022年は6月17日開花)

分類 : 江戸系品種の「古花」。花被片数が多く、9枚程度になる八重咲き(多弁)花です。
花被片 : 形状は一番外側の花被片は円形で(5×4cm)、中心部に向かうにつれて楕円形、細長い楕円形と形状が変化します(5×2cm)。3の倍数で花被片数が増加していきます。一番外側の花被片は垂れますが、それより中心部の花被片は上に向かって伸長成長します(3×2cm)。花色は、薄い紫色地(白色に見える)に、青紫色の細く濃い筋が周縁部に向かって伸長します。脈の間は白色で青紫色の砂子模様があります。周縁部は赤紫色で、よく見ると細い白色の糸覆輪があります。
アイの周辺部は青紫色です。
本ホームページでは、開花順に上から並べてありますが、外側の花被片から開いて伸長して下垂し、中心部に行くにつれて上に向かって伸長成長します。
一番外側の花被片は平滑ですが、中心部になるほど、形状も複雑になり、細く波打ってひねりが入ったようになります。
遠くから見ると、「花被片が複雑にあり、立ち上がる。花被片は青紫から赤紫色で、中心部は白く周縁部は紫色」に見えます。開花するにしたがって、形状は複雑になりますので、個体間差が大きく、同じ花容の写真は撮れないほどです。今後、他の咲き方をしている場合には、順次写真を追加する予定です。
花柱枝 : やや斜め上に立ち上がるようにして存在し、薄い青紫色で周縁部は濃い青紫色。中心部に濃い青紫色の線が入ります。先端部は2裂開してずい弁が発達します。ずい弁は爪状で水平方向に伸長、やや内巻きです。青紫色です。
備考 : 江戸幕府の旗本、松平左金吾(本名、自称は菖翁)の作出した「江戸古花」の品種の中では、もっとも歴史のある「菖翁花」の一つで、「宇宙」などと並ぶ銘品種です。
1853年以前に育成されたといわれています。「昇龍」と記載する場合もあり、冨野(1967)は「しょうりゅう」と読んでいます。

花径は15cm、花茎長は50cmほどで、葉幅は1〜2cm、軸方向に直立します。
「宇宙」と同様に、繁殖力が弱く、株が分岐しにくいので注意が必要です。

本学では開花後に株分けをせず(株自体の成長を抑制するため)、腐敗した根を取り除いて株の成長促進を行っています。根の腐敗防止のために敢えて腐葉土などの有機質肥料は施用しません。

本学で形態学、生理学、および分子生物学、歴史書から調査研究を行った結果、『菖翁花』は信州と日光一帯のノハナショウブから育成されたことを初めて発見、発表しています(研究論文参照)。
文献 :
  1. 小林孝至・和田 瞳・人見明日香・田淵俊人.2016.アイソザイムから見た、ハナ ショウブの起源-ノハナショウブとの比較- 園芸学研究16(1):412.
  2. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究(第3報明治神宮(林苑)のおける土質および水質について.園芸学研究 7(別2):578.
  3. 中村泰基・平松渚・田淵俊人.2009.ノハナショウブの変異性に関する研究(第11報)外花被片に見られる「とさか状突起の構造」について.園芸学研究.8(別1):412.
  4. 田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫監修).p238−239.悠書館,東京.
  5. 冨野耕治.1967.東京(江戸)ハナショウブ.p82−83.泰文館,東京.
研究論文 : 江戸系の花菖蒲品種群はどうやってできたのでしょうか?→「宇宙」の項目を参照してください。

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