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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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れんじょうのたま

連城の璧

Renjyo no tama

江戸系 【花容】平咲きせ先端部がやや下垂する 【英数】六英(それ以上になることもある) 【花色】藤色 【開花期】6月中旬から下旬(2018年は6月18日〜6月24日開花)

分類 : 江戸系の「江戸古花」で、先端部がやや下垂する平咲きの六英花です。
花被 : 藍藤色で丸弁、花被片の基部(底)が白色で黄色のアイの部分が非常に良く目立ちます。花被片の周縁部は細かく波打っています。場合によっては、皺が生じることもあります。アイの黄色の部分の先端が筋状になり、場合によっては黄色の筋が6〜7本になっていることがあります。なお、花色には開花年次により異なり、藤色が濃い年と、右下のように藤色がほとんど抜けて白色に近くなる年がありますが、花被片の形状は同じです。
花柱枝 : 白色で太くて短く、軸方向に直立し各部で分岐します。雄蕊が棒状になり、肥後系の品種、働き花のように先端部が弁化することがあります。したがって、花柱枝数や、花被片数が多く見えることもあります。ずい弁は先端部に発達しますが、大きくなく、ごく細かい鋸歯が形成されます。ずい弁の先端部が淡い藤色で表面は波打っています。
備考 : 1856年以前(江戸時代の安政3年)に松平左金吾(自称、菖翁)によって育成された菖翁花です。一部では貴重な銘花とされているようです。
花径は15cm程度で、草丈は60p。葉はやや黄色みがあり、強勢です。花被片が幾重にも重なっているので、「牡丹咲」(冨野耕治、1967)と呼んでいる場合もあります。

なお、開花年次によっては、全体的に淡く白色に見え、紺紫に見えないこともあります。このように、花色の濃淡の年次変化は、菖翁花をはじめとした江戸古花には比較的多く観察されます(「立田川」など)。

本学での分子生物学的な研究により、「連城の璧」は、「宇宙」と遺伝子がほぼ合致しました(91.7〜100%)。この結果は、昭和に多くの花菖蒲品種を育成した、育種家の平尾秀一(1981)も指摘していますが、この記述が本学の科学的な研究結果でも裏付けられることとなりました。

なお、品種名の「連城の璧(たま)」の「璧」(正しい)を「壁」(間違い)と間違えないようにする必要があります。
参考文献 :
  1. 小林孝至・和田 瞳・人見明佳・田淵俊人.2017.  アイソザイム解析から見た ハナショウブの起源ーノハナショウブとの比較ー.園芸学研究.16(別1):412.
  2. Kobayashi, T. and T.Tabuchi. 2024. Characteristics and apprication style of Japanese irises (Hana-soyubu) 1. Edo-group and Higo group. WOTZ Book. International Society for Horticultural Science. 98.
  3. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究.(第3報).明治神宮(林苑)のおける土質および水質について.園芸学研究 7(別2):578.
  4. 田淵俊人.2016.花菖蒲の品種分化の歴史とその原種ノハナショウブ. 園芸春秋. 11/12号:586.
  5. 田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫監修).p238−239.悠書館,東京
  6. 田淵俊人.2016.江戸時代中期から後期―ハナショウブ栽培の飛躍的な発展と菖翁の業績.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫監修).悠書館,東京.238−240.
  7. 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸 第103集:46−50. 京都府立植物園.
  8. 田淵俊人・川口聖加・日高慶士・小林孝至.2023.  エステラーゼアイソザイムを用いた肥後系ハナショウブの品種群の成立に関する研究. 園芸学研究.22(別1):397.
  9. 冨野耕治.1967.東京(江戸)ハナショウブ.p82−83.泰文館,東京.

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