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    更新日 2025年5月19日

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花菖蒲図鑑

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しっぽう

七宝

Shippou

江戸系 【花容】やや垂れた平咲き 【英数】六英 【花色】紫色 中輪 【開花時期】6月中旬 2008年は6月18日開花

分類 : 江戸時代(1849年以前、嘉永2年)に育成された江戸系品種です。
花被片 : 平咲きで、先端部がやや軸方向に下垂します。丸弁で波を打ったようなうねりが周縁部に見られます。内側の花被片は細長い楕円形で、やや小さいです。
基調色は紫色で、基部から先端部に向かって白筋が放射状に先端部に向かって伸長します。
花柱枝 : 軸方向に、やや斜め上方に立ち上がります。白色で、先端部にいくほど花柱枝と同じ紫色となり、2裂開してずい弁が発達します。ずい弁はさじ状で細長く、内巻きとなって反転します。やや立ち上がって見えます。花被片と同様に紫色です。
備考 : 1849年以前に松平左金吾(菖翁)により育成された『菖翁花』です。
本品種株は明治神宮との共同研究により入手しましたもので、開花させると翌年の株が発達しないため、本学では株の充実を待ってから開花させるようにしています。

明治神宮からの導入株は、江戸時代から株分けによって増やし続けている確かな株で(当時の堀切にあった、小高園などから導入したと言われています)、分子生物学的な研究の結果、野生のノハナショウブの信州・霧ヶ峰と日光の個体と遺伝子が一致したことから、『菖翁花』であることが確認されました(小林ら、2016; Kobayashi and Tabuchi, 2024)→「宇宙」を参照。

花菖蒲園ではほとんど見かけない品種ですので、本学では維持・保存に務めている品種の一つです。
なお、晴天時と曇り空では、撮影した際の花色が青紫色や赤紫色になるので、撮影の方法の項目を参照してください。ここでは、上の4枚は青紫色、下の4枚は赤紫色に見えていますが、同じ場所で開花した株です。
→撮影の方法
参考文献 :
  1. 小林孝至・和田 瞳・人見明佳・田淵俊人.2017.  アイソザイム解析から見た ハナショウブの起源−ノハナショウブとの比較−.園芸学研究.16(別1):412.
  2. Kobayashi, T. and T.Tabuchi. 2024. Characteristics and apprication style of Japanese irises (Hana-soyubu) 1. Edo-group and Higo group. WOTZ Book. International Society for Horticultural Science. 98.
  3. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究.(第3報).明治神宮(林苑)のおける土質および水質について.園芸学研究 7(別2):578.
  4. 田淵俊人.2016.花菖蒲の品種分化の歴史とその原種ノハナショウブ. 園芸春秋. 11/12号:586.
  5. 田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫監修).p238−239.悠書 館,東京
  6. 田淵俊人.2016.江戸時代中期から後期―ハナショウブ栽培の飛躍的な発展と菖翁の業績、菖翁による品種改良―卓越した感性と先見の明.『花の品種改良の歴史』(監修:柴田道夫.悠書館,東京.238−240.
  7. 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸 第103集:46−50. 京都府立植物園.
  8. 冨野耕治.1967.東京(江戸)ハナショウブ.p82−83.泰文館,東京.

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