第203回
翻訳本出版

私が翻訳した本が出版されました。題名は「バナッハ・タルスキーのパラドックス」です。
パラドックスとは「奇妙な定理」という意味で、日本語では「逆理」と言います。
矛盾はしていませんが、人間の直観と合わない不思議な数学の定理のことです。
このパラドックスは「小さい物体をいくつかの断片に分解し、動かして、また組立てて大きな物体を作ることができる」という定理です。
動かすだけで拡大も縮小もしていないのに体積が変わるので、明らかにおかしな定理です。
でも体積を測れない断片に分解しているので数学的に矛盾はしていません。
バナッハとタルスキーが発見した定理で、その後も発展し、現在も研究は続けられています。
私もいくつかこれに関する論文を書きました。

説明文を載せます。まったく予備知識のいらない文章なので、よかったら読んでみて下さい。
前半(段落の変わるところまで)を読んでもらえれば、なぜこんなおかしなことが起きるか、の気分をわかってもらえるのではないかと思います。

※下記画像をクリックするとpdfが開きます。

2023年5月12日 佐藤健治教授