第64回
1年生「スクウェア・エニックス 特別講義」

2025年12月9日、株式会社スクウェア・エニックス AI&エンジン開発ディビジョンの狩野竜示様と城所憲様をお招きし、ソフトウェアサイエンス学科の1年生を対象に「デジタルゲーム産業とAI」と題した特別講義を開催いたしました。本講義はゲーム業界におけるAI技術の最前線と実務への応用、さらには企業における人材育成の仕組みについて、現役の開発者から直接学ぶ貴重な機会となりました。

講義の前半では、近年注目を集める生成AIのゲーム開発への応用について、研究開発の視点から解説いただきました。特に自然言語処理を用いたNPC(ノンプレイヤーキャラクター)のセリフ生成においては、AIのハルシネーション(もっともらしい嘘)や倫理的な問題、世界観との整合性といった課題に対し、RAG(検索拡張生成)などの技術でいかにアプローチしているかをご説明いただきました。また、ゲーム開発の現場で大きな工数を占めるQA(品質保証)業務の効率化として、大規模言語モデル(LLM)を用いたテスト自動化の事例をご紹介いただきました。ここではLLMが苦手とする空間認識能力を補うために、画像の認識だけでなくゲーム内の座標やコリジョン情報を直接取得する「ログダンプシステム」を独自に構築するなど、ソフトウェアサイエンス的な工夫によって課題を解決する実践的なプロセスをお話しいただきました。

講義の後半では、同社の新入社員研修「Game Dev Boot Camp」(GDBC)やエンジニア研修についてご紹介いただきました。GDBCはゲームの企画から発売までの開発プロセスをチーム単位で疑似体験することができる実践的なプログラムです。大学での学びが実際の開発現場でどのように活かされるのか、またプロのエンジニアとして求められるスキルやマインドセットは何かという点について学生たちは具体的なイメージを持つことができました。(参考:株式会社スクウェア・エニックス 新卒採用ページ

最先端のAI技術がエンターテインメントの裏側でどのように活用されているかを知ることは、これからの大学での学びが自身の将来のキャリアにどう繋がるのかを考える、大変有意義な時間になったことと思います。

狩野様、城所様におかれましては、ご多忙の中、本特別講義をお引き受けいただき、心より感謝申し上げます。

2026年1月14日 柴田健一講師