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グローバルコミュニケーションのための英語① (By Tomokazu Ishikawa)

2020年2月4日

「グローバル人材になるために、本場であるアメリカの英語を勉強しよう!」
このような発言を聞くと、みなさんはどのように感じますか。

そもそも「アメリカ」という言葉が、アメリカ大陸全体ではなく、米国のみを指すことは問題かもしれません。先日、私はELFセンターの岡田先生・ディモスキ先生とメデジン(コロンビア)での国際学会に参加しましたが、メデジンもアメリカです。

また、「グローバル」は「英語」を意味するのでしょうか。少なくても、グローバルコミュニケーションのための英語に、「本場」が存在するのでしょうか。

日本の英語教育は、いわゆる北アメリカ標準英語に固執する傾向があります。添付は卒業式に参列中の私が撮った写真ですが、現地(米国ニューヨーク市)で教科書のような英語を聞くことはほとんどありません。また、学問における英語は、出身地域を問わず、それぞれの分野の学者達が発展させてきたものです。

グローバル英語(Global Englishes)という大きな学問分野があります。その中には「世界の様々な英語(world Englishes)」と「国際語としての英語(English as a Lingua Franca)」という分野があります。前者の立場からは、例えば英国英語もインド英語もケニア英語もナイジェリア英語もシンガポール英語も同等に重要で、私が担当する学生の英語は日本英語ということになります。しかし、この考え方には内在的問題があります。日本人同士で英語を使う機会は少なく、ましてやその英語が世代を通じて発展していくなど現状では考えられないということです。言語・文化・国家を結び付けて考える前世紀的発想では、今世紀の流動的世界を理解することは難しいのです。

ELFの探求対象は、端的には英語話者によるグローバルコミュニケーションです。対象がグローバルコミュニケーションですから、英語を多言語的に捉える必要があります。この続きは、次回のELF Talkで!