玉川大学

玉川大学の全学共通英語教育プログラムは、ELF(English as a Lingua Franca)プログラムと名づけられ、その名称が示す通り、リンガフランカ、すなわち「共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる言語」として英語を学修するプログラムです。これまで多くの大学の英語プログラムが、主として米国や英国などの英語母語話者(ネイティブスピーカー)の英語、特に単一言語話者の英語の習得を目指すカリキュラムを組んできました。しかし現在のグローバル化が進んでいる国際社会では、英語使用者のおよそ4人に3人は、他の母語を持ちながらも英語を学び、英語を第二、第三の言語として使用していると言われています。母語話者の数では中国語よりもはるかに少ない英語ですが、今や過去に類例を見ないほど様々な地域と分野に浸透し、多言語多文化をつなぐ架け橋として使用されています。こうした時代の変化に対応すべく、大学の英語カリキュラムも刷新されなければなりません。玉川大学では、従来の「土着語」や「外国語」と言った概念に基づいた英語指導ではなく、英語を国際語、ないしは共通語として使いこなすことを学修目標に掲げています。

例えば皆さんが、台湾人の学生とオンラインで会話をしている時、英語だけを使用するのではなく、日本語や中国語の要素を取り入れながらコミュニケーションがなされても全く不思議ではありません。あるいは、日本のアニメについて、チャット機能で漢字の助けを借りながら、英語を駆使して議論しても良いのです。現実のグローバルコミュニケーションにおいて、言語(language)の境界線をはっきりとさせることは必ずしも容易でなく、文化(culture)がどのように関係してくるかも状況次第です。また、実際のコミュニケーションでは、ビデオ・音声・チャットなど、媒介手段にもよりますが、言語だけでなく、表情、身振り・手振り、発話のタイミング、文書のデザインの仕方など、様々な伝達方法(mode)が多用されます。私たちの日常的なコミュニケーションは、様々な人が共生する社会空間の中で、様々な手段や様式が一体となって実現されているのです。

Ishikawa (2020): Complexity of English as a multilingua franca

しかしながら、「グローバルコミュニケーション」の名のもとに、言語(language)の中から英語だけをコミュニケーションのための言語として位置づけ、さらには特定の地域の理想化された英語の規範のみを教えることに傾倒する英語教育が多いように思われます。こうした現状を打破する取り組みとして、2014年度から玉川大学は、世界に先駆けた全学共通の英語教育プログラム、「ELFプログラム」をスタートさせました。学生が「共通語としての英語」を使いこなし、世界中の人々と多様な場面や状況でコミュニケーションできることを目標にしており、2019年度以降、本学すべての学部・学科で導入されています。本プログラムの教員陣は、さまざまな言語・文化・社会的背景を持ち、英語教育における豊かな学識と経験はもちろん、学際的専門性を兼ね備えています。各教員の創意工夫によって準備されたオリジナル教材で進められる授業は、まさに生きた英語と多文化を実践する場所です。玉川大学ELFセンターは、真のグローバル人材を育成するための教育・研究センターとして、国内外から広く注目を集めています。