マーケティングの実践:玉川大学経営学部生の提案が企業のインスタグラム広告に
(2024年度秋学期産学連携ゼミナール)
産学連携ゼミナール概要
経営学部国際経営学科マーケティング戦略コースでは、3年生のゼミナール履修者を対象として、産学連携ゼミナールを実施しています。
産学連携ゼミナールは、企業の方々にご協力を頂き、マーケティングに関する課題に学生が取り組む体験型演習プログラムです。マーケティング理論の実践や企画力・提案力・論理性といった能力の向上、企業・業界研究を通じて自身のキャリアビジョンの明確化を図ることを目的としています。
2024年度秋学期は、花王グループの商品を販売する花王グループカスタマーマーケティング株式会社(以降、花王グループカスタマーマーケティング)にご協力を頂きました。
今回の課題と学生の提案
花王グループカスタマーマーケティングからの課題は、花王が運営するZ世代限定のコミュニティサイト「これかラボ※」の周知を図るためのインスタグラム広告デザインを提案することです。「これかラボ」は、学生や新社会人などのZ世代と花王がつながることを目的としています。今回の課題は、インスタグラムに「これかラボ」の広告を出稿するうえで、ターゲットとなるZ世代に興味・関心を持ってもらうためのメッセージ、デザインを検討するというものです。
※「これかラボ」は、花王株式会社が運営するMy Kao(https://my.kao-kirei.com/)より参加できる、25歳以下限定のコミュニティサイトです
<ワークショップ&中間報告>
学生は、事前に「これかラボ」のリサーチなどの準備を行ったうえで、花王グループカスタマーマーケティングからリテールマーケティング部の稲木様、石田様にご来校いただき、花王グループカスタマーマーケティングのご紹介や今回の課題の背景についてお話しいただいた後、ワークショップと中間報告を実施しました。
ワークショップでは、企業の方々のアドバイスを得ながら、ゼミナール毎に構成された学生グループによるターゲットの明確化、ターゲットのニーズや悩みを深掘りする作業を行いました。そのうえで、キーとなるコンセプトを見つけ出し、中間報告として発表を行いました。
講評を頂いた後、最終報告会に向けてのデザイン案の作成にあたり、コンプライアンスや法律違反などについても講義を頂きました。実際の広告の企画には様々な制約があることを学び、アイデアを形にすることの難しさについても理解を深めることができました。
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講義の様子 -
ワークショップの様子
<最終報告会>
各グループにおいて中間広告でのコンセプト案をもとに、2週間程度グループでの議論を通じて推敲を重ね、最終的なコンセプト及びデザイン案を作成しました。各ゼミナール内で代表グループを2グループ選抜し、最終報告会では代表グループが発表を行いました。
花王グループカスタマーマーケティングの方々による審査の結果、最優秀賞と優秀賞2グループが選出され、最後に、最優秀賞に輝いた矢野ゼミナールB班の案をベースとしてフィード広告が作成されることが報告されました。実際の広告の作成に当たっては、制作会社などのプロフェッショナルの方々の力により広告デザインの最終化が行われます。
- 最優秀賞 矢野尚幸ゼミナールB班
SNS上で情報収集を中心とした生活(見る専)、SNSでの発信や悩みをなかなか人に聞けない抵抗感に着目して、ここなら自分の悩みを打ち明けられるという表現をデザイン。 - 優秀賞 木内正光ゼミナールB班
目を引き興味を持ってもらえる広告として、「謎のZ世代限定サイト」、以前流行っていた「おじ構文」のトーク画面をデザインに。 - 優秀賞 飯村龍一ゼミナールB班
変わりたい大学生の育成所(相談所)をテーマに、モテたい男子大学生が抱える悩みを共有できる、変わるための相談共感コミュニティサイトであることを表現。
<インスタグラム広告の展開>
最終化された広告デザインが、2024年11月21日~30日にインスタグラム広告として展開されました。実際の成果として、目標や過去の実績よりもCTR(広告を見てURLをクリックした人の割合)やCVR(広告を見てこれかラボ登録完了した人の割合)が高かったという評価を頂きました。また、これかラボの会員からも、広告の色合いやかわいさについて好意的な口コミが得られたとのことでした。
展開されたインスタグラム広告
提案を終えて
3年生にとっては、自分たちの提案が広告デザイン案として採用され、実際にインスタグラムに掲載されるという貴重な体験ができ、ある程度の成果を出すこともできました。今すぐに、その素晴らしさを実感することはできないかもしれませんが、今後様々な機会を通じて実感していくことになるでしょう。選ばれなかったグループの皆さんも、ワークショップや提案の中で学んだこと、特に消費者インサイトの重要性などについて、ぜひ振り返りをしてもらいたいと思います。また、これを機会にぜひこれかラボの活動にも参加してもらえればと思います。今回貴重な機会を提供していただいた花王グループカスタマーマーケティングの方々に改めて感謝申し上げます。
最優秀グループに選出された学生からのコメント
- 産学連携を通して貴重な経験ができました。ニーズに合わせた訴求案を考えたり、実際に使用されるプロモーションを考えたりと、なかなかできない経験の為、今後様々な場面で活用していきます。(増田 和希)
- ターゲットの行動やニーズを深掘りし、そこに対する価値の訴求ということで、とてもいい経験ができました。この経験を今後に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。(矢野 将輝)
- ニーズの言語化及び広告への表現を細微まで落とし込む事の困難と、同時に大きなやりがいを実感しました。(西羅 愛)
ご協力いただいた企業からのコメント
- この度は、貴重なお取組ありがとうございました。学生の皆さんの授業に取り組む姿勢、アイデア、表現、プレゼンテーションなど、「リアル」を体感できました。今後とも「リアル」と向き合い、Z世代を中心とした若年層に有益なコミュニティをつくり、花王のファン獲得、Z世代との共創に向け「これかラボ」を運営してまいります。(稲木様)
- 産学連携プロジェクトを通じて、学生の皆さんの視点での「これかラボ」のコミュニティのあり方や、Z世代に響く広告デザインを深く知る貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。いただいたご意見を今後の活動に活かしてまいります。(石田様)
今後も経営学部国際経営学科では産業界の連携を深めた活動を通じて、社会に貢献できるような人材育成を推進していきます。