「ジャパン・グリーンボンド・アワード」環境大臣賞表彰式
環境に良い投資を推進する資金調達(グリーンボンド)と企業の取り組み(島義夫)

島義夫(ファイナンス・金融)


受賞企業と城内環境副大臣、環境事務次官、選定委員の集合写真

3月1日、東京有楽町の東京国際フォーラムにて環境省主催のグリーンボンドに関するシンポジウムと国内グリーンボンド市場に貢献した企業への環境大臣賞などの表彰式が盛大に行われました。  グリーンボンドとは言うまでもなく、パリ協定達成に向けたCO2削減を目的とする投資を行う企業がその資金調達のために発行する社債です。2017年3月に日本版のグリーンボンド・ガイドラインが発表されて以来、すでに国内だけで数千億円の発行実績があります。  グリーンボンドを発行した企業、引き受け金融機関、第三者評価機関、投資家などの中で特にグリーンボンド市場発展に貢献した企業などが表彰の対象となっています。具体的な受賞企業は以下のとおりです。

ジャパン・グリーンボンド・アワードの受賞者について


栗本ホールディングスの受賞理由を説明する筆者

海運会社として初めてグリーンボンドを発行した日本郵船、住宅ローンの中の省エネ部分を対象にしたグリーンボンドを発行した住宅支援機構、事業に使う電力をすべて再生可能エネルギーにするプロジェクトを立ち上げた丸井をはじめ、鉄道事業における省エネ投資向けにグリーンボンドを発行している小田急電鉄や洋上風力発電投資プロジェクト向けのグリーンボンドを発行した戸田建設など、日本を代表する企業による工夫をこらした先進的な取り組みが評価されています。また、金融業者としてグリーンボンド発行を支えた三菱UFJFGや債券引き受けで活躍した三菱UFJモルガンスタンレー証券、グリーンボンドへの高い投資実績がある日本生命、第三者評価機関のサステイナリテックスも受賞しています。さらに、これら大企業とともに、全国的には知られていない広島県の中堅企業である栗本ホールディングスは太陽光発電に関連した信託受益権を使った資金調達が評価され、選定委員特別賞を受賞したのが注目されます。

筆者は今回の表彰に関して選定委員をつとめ、インベストメント部門と選考委員賞の受賞理由説明などで登壇しました。学生諸君にはESGやSDGsなど環境と金融に絡んだ世界的な動きから目を離さないでいただきたい。小田急電鉄などは大学の最寄り駅で身近な存在ですが、今年1月に駅などで「小田急ゆけむりグリーンボンド」のポスターを見た人もいたと思います。これら受賞企業の行動は、様々な業界において企業が工夫しだいで本業を通じて環境に貢献できる、あるいは、良い世界の構築に貢献できることを示す良いモデルになるでしょう。

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