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『メクリメグリオドリカタル -The World of Andersen's Fairy Tales-』
2025春舞踊公演報告(楠原竜也 准教授)

2025.08.21

公演の趣旨

本公演は、「芸術による社会貢献」という本学部の理念に基づき、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる舞踊公演の創造を目指しました。題材には、本学園とも縁のあるアンデルセン童話を取り上げ、愛・希望・哀しみといった普遍的なテーマを身体表現で語りました。さらに、美術・照明・音楽・衣裳など多様な表現手段を融合させ、観客を言葉を超えた「ものがたりの体験」へと誘うことを意図しました。

創作の特徴と教育的工夫

今回の大きな特徴は、「クリエイションチーム」による垣根のない協働体制です。美術・照明・音響・衣裳・メイク・舞台監督・制作・映像といった各部署が、総合演出とアートディレクションの教員とともに、企画段階から一体となって創作を進めました。部署間の連携を通じて、学生たちは創造の主体性を育むと同時に、横断的な思考力と実践力を培うことができました。

作品構成と演出の概要

公演は、アンデルセン童話をベースにした4作品で構成しました。それぞれ異なる分野(日本舞踊・バレエ・コンテンポラリー・コンテンポラリージャズ)の振付家(教員)が振付を担当しました。各作品は独立しながらも、「Souls」という“ものがたりをつなぐ存在”が全体を貫くことで、一つの世界観を共有しました。

構成

①プロローグ(Soulsのあそびの始まり) 振付:楠原竜也/山崎眞結
②作品1『赤いくつ』 振付:杉崎泉
③ブリッジ1(Soulsのあそびの途中) 振付:楠原竜也/山崎眞結
④作品2『王子のあたらしいふく』 振付:楠原竜也/山崎眞結
⑤ブリッジ2(Soulsのあそびの途中) 振付:楠原竜也/山崎眞結
⑥作品3『みにくいアヒルの子』 振付:青山典靖/大嶋里衣子
⑦ブリッジ3(Soulsのあそびの途中) 振付:楠原竜也/山崎眞結
⑧作品4『雪の女王』 振付:藤山すみれ
⑨エピローグ(Soulsのあそびの終わり、そして…) 振付:楠原竜也/山崎眞結

Souls

舞台には「究極のごっこあそび」を楽しむ6名のSoulsたちが登場しました。彼らは魂のように舞台を旅しながら、観客をものがたり世界へ導く存在です。ロビーや演劇スタジオで開演前からパフォーマンスをし、観客の没入感をさらに高めました。

舞台構成とオブジェ

舞台は観客が取り囲む、逆前方後円墳型とし、親密さと非日常感を生み出しました。天蓋には多彩な布を用い、開場時の中央には満月をモチーフにした大型可動式オブジェを配置しました。このオブジェは分割・移動が可能で、場面ごとに異なる意味を担い、観客の想像力を刺激しました。

教育的成果と今後の展望

学生たちは本公演を通じて、表現者として、またスタッフとして、多角的に創造力を育みました。その結果、舞台芸術に必要な統合的な思考力と実践力を身につけることができました。特に「クリエイションチーム」による協働的な創作は、専門性を活かしながら柔軟に発想し、他者と協働して作品をつくりあげる貴重な学修の機会となりました。今後の課題としては、秋学期舞踊公演『Performing Body 2025』への創作的連続性を意識し、舞踊教育の特色をさらに可視化していくことが挙げられます。また、地域社会とつながる芸術実践の可能性を、より一層広げていく取り組みが求められます。

地域との連携と発信

今回の公演では、日曜昼の開催により、学生の家族や地域住民、子ども連れの観客が増加しました。観客層の広がりが見られたことは大きな成果です。特に中高生の来場は、進路を考える世代に本学科の魅力を伝える貴重な機会となりました。また、本学科の春学期舞踊公演としては、コロナ禍以降初めての日曜開催でもありました。今回得られた集客データは、今後の広報・運営を見直すための重要な指針となります。今後は、より多様な観客層を迎える広報戦略を展開し、地域との連携を一層深めてまいります。

(楠原竜也 准教授)

公演概要

玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科 2025年度春学期舞踊公演
『メクリメグリオドリカタル -The World of Andersen's Fairy Tales-』

原案:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
   『赤いくつ』『皇帝のあたらしい着物』『みにくいアヒルの子』『雪の女王』より

コンセプト・総合演出:楠原竜也

演出補:山崎眞結

アートディレクション:赤羽佳奈/長峰麻貴

振付:青山典靖/大嶋里衣子/楠原竜也/杉崎泉/藤山すみれ/山崎眞結

スタッフ指導:玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科教員

出演学生:17名

スタッフ学生:106名

公演会場:玉川大学 大学3号館 演劇スタジオ

公演日時:2025年7月11日(金)18:30開演/12日(土)18:30開演/13日(日)13:30開演

公演の様子

プロローグ(ロビーでの開演前パフォーマンス)
プロローグ(ロビーでの開演前パフォーマンス)
プロローグ
プロローグ
プロローグ
プロローグ
『赤いくつ』
『赤いくつ』
ブリッジ1
『王子のあたらしいふく』
『王子のあたらしいふく』
ブリッジ2
『みにくいアヒルの子』
『みにくいアヒルの子』
ブリッジ3
『雪の女王』
『雪の女王』
エピローグ
エピローグ
エピローグ
エピローグ
カーテンコール
プロダクションメンバー