研究のキーワード
光計測技術
量子レーダー
量子エンタングルメント
スクイーズド光

私の研究室では量子力学的な現象を利用して、従来の光計測技術やセンサーを高性能化していく研究を行います。その一つが量子レーダーです。一般的なレーダーは電波を発射し、その反射波を測定することで対象物の有無や距離などを測っています。量子レーダーは電波を用いる替わりに量子力学特有の量子エンタングルメントという光の現象を利用して対象物を検知します。従来のレーダーは雨や霧、雑音といった環境では性能が低下してしまうという問題がありましたが、量子レーダーは量子エンタングルメントの効果により悪環境でも性能を発揮できるという利点を持っています。量子レーダーの研究で重要となるのが量子エンタングルメント光源です。そして量子エンタングルメントの生成で欠かすことができないのがスクイーズド光と呼ばれる巨視的な量子状態の光の生成技術です。玉川大学では長年に渡ってスクイーズド光の理論的な研究成果を蓄積してきました。最近になってようやく本学でもスクイーズド光を実験的に生成し、量子エンタングルメント現象を観測できるようになりました。今後は量子レーダーの原理実証実験まで研究を進めていきたいです。量子レーダーの技術はカメラやセンサーなど、人間の役に立つ様々な分野への応用が期待されています。

研究室に興味のある学生さんへ。研究室では主にレーザーを使った光学実験を行います。特に光が持っている多様な物理的性質を実験を通して観察し、その理論的な背景を考察するという科学技術研究の基礎を体験することになります。研究室に入ってきた学生さんは、まず光学実験を実施する準備段階から教員と一緒に勉強して行きます。光を測定したり制御するための電気回路の工作にもぜひ挑戦してもらいたいです。そして光計測技術に関する基礎技術を身につけ、現在の技術の限界を理解します。余裕が出て来れば、その限界を破る量子の世界へと導きます。