研究のキーワード
経営工学
社会システム
知識マネジメント
地域特性
地域活性化

経営工学とは、工学の知識や技術を使って、「人」「モノ」「お金」「情報」といった経営資源を効率よく動かし、組織や企業の活動をより良くすることを目指す学問です。
私の研究では、特に「暗黙知」を「形式知」へ変換する取り組みをしています。暗黙知とは、経験や感覚に基づく個人の知識であり、通常は言葉や数値で簡単に説明できないものを指します。例えば、工場などのベテランが持つ「コツ」や、接客上手な店員さんの「感覚」などが暗黙知です。組織や企業内では、日々多くの創意工夫や改善活動が行われています。それらがどのように生み出され、問題解決に使われているかを分析しています。この研究は、組織における知識資産の可視化・活用を促進し、持続的な改善力を育成する教育プログラムの開発にも応用可能です。
また、経営工学が対象とする交通網の整備やまちづくりといった「社会全体の仕組み作り」の観点から、地域特性に関する研究も行っています。近年、コンパクトシティ構想のもと、駅やバスなど交通拠点を中心としたまちづくりが推進されています。駅の「力」(駅力)は、単に輸送力だけではなく、乗降客数、商業施設の有無、周辺環境など、複数の要素が複雑に絡みあって評価されます。しかし、これらは感覚的なデータ(定性的なデータ)も多いため、数字で示せるデータ(定量的なデータ)は限られています。そこで個人に着目した定量的なデータとして駅ごとの鉄道交通利便性を評価する方法を研究しています。さらに、「駅から離れると鉄道の便利さがどのくらい減るのか」をモデル化(数式やグラフを使って整理・表現すること)し、鉄道交通が地域に与える影響範囲を可視化する取り組みも進めています。
このような研究を通じて、私は誰もが暮らしやすい社会や地域を目指しています。