研究のキーワード
最適化
計算知能
進化計算
金融工学
折登 由希子 准教授

社会において、私たちが実際に直面している課題の多くはとても複雑であり、簡単には最良の答えを見つけることができません。私は、このような課題の目的と制約を明確にし、計算知能のアルゴリズムを利用することで、目的に対する最良の答えを効率的に見つけ出す研究に取り組んでいます。
計算知能とは、人工知能(AI)の最適化における発見的アルゴリズムの総称であり、代表的なアルゴリズムに、微分情報を必要とせずトライアンドエラーで最良の答えの探索を進める進化計算と呼ばれるアルゴリズムがあります。進化計算アルゴリズムは、高度な最適化を必要とする新幹線N700系のフロントノーズ設計や小型旅客機MRJの主翼設計にも使われており、社会の複雑化する課題に対して、最良の答えを見つける一つの方法として注目されています。

例えば、株式ポートフォリオへの資産配分問題を考えてみてください。自分の資産をどのような銘柄にどのような割合で配分するか考えるとき、自分が許容できるリスクと期待するリターンなど、直面する課題を明確に表現できなければ資産配分計画を立てることができません。
計算知能研究室では、様々な課題を分析し理解することで、最適化問題における目的と制約の定式化を学び、その問題を計算知能のアルゴリズムで解くことを学びます。学生の皆さんから提供される身近な課題も取り扱います。例えば、デリバリーサービスでコスパの良い配送計画を立ててみたい、野球チームのオーダーを見直し勝率を上げたい、など身近な課題に対して良い答えを知りたい…と思っていませんか?
データ分析や最適化のためのツールやアルゴリズムを使えるだけでなく、自ら目的と制約を定式化できる。直面する課題に精通することで、プレゼンにも説得力が生まれることを実感するでしょう。研究室の活動を通して、そのような経験をしてもらいたいと考えています。