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2016年度 教育力育成プロジェクトの受賞作品をご紹介します

教育学部では「教育力育成プロジェクト」として学生参加型のコンテストを毎年実施しています。2016年度は、3年次全員参加とし、ゼミを通して応募を募りました。テーマは「本」について、自由な切り口で400字程度にまとめることとし、「本」についてや「本を読むこと」について考える機会としました。

以下に受賞作品を5本紹介します。活字離れが進む現代社会ですが、皆さんも「本」について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

最優秀賞 教育学科 鈴木わかなさん 『自分の視点が変わる本』

『僕が跳びはねる理由』を高校生の時に書いた東田直樹さんは、現在一人の作家として人生を送っている。その中で出されたのが『跳びはねる思考』である。『僕が跳びはねる理由』では、自分の行動について一つずつ分析をし、このように理解してほしいという展開がされていた。しかし、『跳びはねる思考』では大きく自分を捉えて書かれている。今を生きることや他者との関わりについて、自分の気持ちを述べている。私はこの本を読んで、障害者に対する見方が変わった。障害者の理解しがたい行動は、抑えきれない感情をありのままに表しているものだと考える。その行動は私たちよりずっと人間的であり、私はプラスの面として捉えていきたい。全ての行動や気持ちを理解することはできないと思っていたが、私たちがもっている感情がありのままに表されていると考えると、行動の意味を受け入れることができるのではないかと思う。今何を考え、なぜこの行動を取ってしまうのか考えながら接し、プラスの面を生かすことができるよう、教師として支援していきたいと考えている。
(東田直樹 2014年 『跳びはねる思考』 イーストプレス)

優秀賞 教育学科 村上咲穂さん 『本と向き合うこと』

私は、授業で1冊の教育哲学の本を読み、半年間、生きる時代も言語も異なる著者の残した思想と向き合いました。理解しやすい章もあれば、文章の奥に秘められた思想を掴むまでに苦戦した章もあり、読み進める中で比喩の壁に何度もぶつかりました。しかし、どんなに難しい表現でも自分の実体験や現代社会に当てはめて考えるうちに、著者の思想が見えてきました。
私は、ここに本を読むことの面白さがあると考えます。著者と読者は生きた時代や国は違っても、読書を通じてつながることができます。さらに、本と向き合うなかで学んだり批判的に考えたりすることは、読書の面白さであるだけでなく、自分の思想に磨きをかけることだと考えます。そして、本を読み、考えることで鍛えられた読者は、著者が残したものを時に知識として、時に根拠として活用していくことができます。
私は、読書で著者の世界と向き合い、そこから得た学びを活用し、自ら課題を解決していくことで、自分を磨いていきたいです。

優秀賞 乳幼児発達学科 儀賀彩音さん 『「ジャケ買い」のススメ』

散歩の途中などでふらっと本屋に寄った時、手に取る本の選び方としてひとつ「ジャケ買い」をお勧めしたい。見た目で、ぱっと直感に響くものを選ぶのである。
1年生の夏、『ぼくは勉強ができない』という本と出会った。水色の地に、細やかで可愛らしい絵がちりばめられた、絵本のような見た目であった。それを見た時にすぐ、読みたい、と思った。「ぼくは勉強ができない、でもおまえは女からモテないだろう」と嫌味な成績優秀者に言い放つ、高校生の話である。私はこの本をあっという間に読んでしまった。今でも大好きな一冊である。
私はあまり積極的に本を読む方ではないが、装丁でビビッときた本に、今までハズレがなかったのは間違いない。何故か。それは、文章を彩る周りの要素にも気をつかわれている「作品」としての価値があるからではないだろうか。
ちなみに「ジャケ買い」という言葉は、音楽CDなどに使われる言葉である。視点を変えると、読書はどんどん面白くなると、私は考える。

優秀賞 乳幼児発達学科 山田晶香さん 『本との出会い』

自分とは違う人に出会う。『8分音符のプレリュード』は、まさに他者との出会いを描いた物語だ。主人公の果南はいわゆる真面目な中学生。そしてそのクラスには謎の少女、透子が転校してくる。果南は透子と関わっていく中で、自分と向き合っていく。
人は生活していく中で多くの人と関わっていく。自分とは違う価値観を持つ人と触れ合う時、誰しも一度は嫌悪感を抱いたことがあろう。昔、私は苦手だと感じた相手と極力コミュニケーションを取らないようにしていた時期がある。確かに楽ではあったが、その半面で成長もない期間であった。その頃に出会ったのがこの本である。
『8分音符のプレリュード』と出会い、他者と関わっていくことは、自らと向き合うことであると知った。また生きていく中で避けられないことであると同時に、最大の楽しみでもある。この気づきは今の私を作り上げた1つであり、宝であると感じている。
(山本祐子 2008年『8分音符のプレリュード』 小峰書店)

優秀賞 乳幼児発達学科 金美玲(キム ミリョン)さん 『私にとって本とは』

本は私に様々なことを教えてくれます。歴史も科学も文化も、人付き合いに大切なことも教えてくれます。「」という韓国のことわざがあるのですが、日本語に訳すと「本はしゃべらない師匠」という意味になります。本当にその通りだと思います。本は口うるさく説教もしなければ、小言も言わないけれど、私の悪い所を気付かせてくれたり、自信が無くて落ち込んでいるときに励ましてくれたりします。物事を深く考えるきっかけを与えてくれたり、楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、驚くことなど様々な思いを体験させてくれたりもします。これは小説でも、教科書でも、絵本でも同じです。どんな本にも作り手の思いがこもっていて、その思いが私に新しい発見をさせてくれて、今まで知らなかった世界に触れさせてくれるのです。このように考えると、暇な時ついスマートフォンばかり触ってしまうことは、とてももったいないことなのかもしれません。

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