研究室ガイド

ユネスコスクール加盟校としての
玉川大学教育学部

玉川大学教育学部は、2008年10月24日(国連デー)に
教員養成学部としてユネスコスクール(ASPnet)に加盟し
教育研究活動を展開しています。

ユネスコスクール加盟校のプレート

1.ユネスコスクール(ASPnet)および加盟の経緯

ユネスコスクール(ASPnet: UNESCO Associated Schools Network)は、国際連合の専門機関であるユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)が、国際理解教育をはじめとするユネスコの理念を学校の教育現場で児童生徒達に効果的に伝えていくために1953年(昭和28年)に創設した世界的な学校間ネットワークです。当初は15か国33校で出発したささやかなプロジェクトでした。

その後ユネスコスクールはさまざまな時代状況における人類社会の教育的ニーズを反映しながら大きな発展を遂げ、2020年4月現在、ユネスコスクール加盟校は日本国内で1,116校、世界全体では約11,700校に上っています。とくに日本では21世紀に入ってから文部科学省がユネスコスクールをESD(持続可能な開発のための教育)の推進拠点と定めて強力にサポートしてきました。また2005年~2014年が「国連ESDの10年」(UNDESD)であったのをきっかけとして、ユネスコスクールは学校現場に広く知られるようになりました。

ユネスコスクールには小学校と中学校が多いのですが、幼稚園から大学まであらゆる学校種が参加しています。現在日本では5つの大学がユネスコスクールに加盟しています(加盟した順に、奈良教育大学、宮城教育大学、玉川大学、三重大学、愛知教育大学)。いずれも教師教育(教員養成)に力を入れている大学であることが分かります。玉川大学は、現在日本でユネスコスクールに加盟している唯一の私立大学です。

現在ユネスコ本部は、ユネスコスクールでとくに力を入れて教えるべき重点学習領域として、次の3つのテーマを掲げています:

1)地球市民教育(GCED)と平和・非暴力の文化
2)持続可能な開発のための教育(ESD)と持続可能なライフスタイル
3)異文化間学習と文化の多様性および文化遺産の尊重

つまりユネスコスクール加盟校には、さまざまな教科や活動において、この3つのテーマに関する学びや体験を深めていくことが求められているのです。

玉川大学は小原國芳の提唱した全人教育の伝統を生かした教育研究活動を展開してきましたが、とくに教師教育を行う教育学部では、「地球は我らが故郷なり」という玉川教育12信条に謳われている国際教育の理念とユネスコの価値教育の理念が根本において合致するところから、教員養成校としてユネスコスクールに加盟しました。現在では、平和で持続可能な社会の実現をめざす国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の学習が学校現場で広く求められていることから、SDGsの学習や研究もユネスコスクールとしての教育学部の大事な課題となっています。

国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」(SDGs)

現在、玉川大学教育学部のカリキュラム・ポリシー(教育課程方針)には以下のように書かれています:

「ESDの推進拠点校である本学部の特質を生かし、SDGs達成を視野に入れ、誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向け、多様なキャリアを模索することのできる社会人としての資質・能力を高める機会、社会の急激な変化に対応することのできる人間として普遍的に求められる知識・技能、そして教養を偏ることなく学ぶ機会、そして、既存の知識体系に固執せず、常に新しい知識を対話的な深い学びを通して獲得し、知的探究心を高める機会となる科目構成を提供する。」

ここにユネスコスクール加盟校としての玉川大学教育学部の取り組むべき課題、進むべき方向性が明確に打ち出されているのを見ることができるでしょう。

2.ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)への加盟

玉川大学教育学部は、ユネスコスクールに加盟したのと同じ2008年に、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)にも加盟しました。ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)は、現在日本で文部科学省のバックアップを得て普及が進んでいるユネスコスクールの活動を支援する大学が集まってできた全国的ネットワークで、現在23大学が加盟しています。ASPUnivNetの主な支援活動としては、1)学校のユネスコスクールへの加盟申請の支援、2)ユネスコスクールの国際交流の支援、3)教師研究会やユネスコスクール研修会など学校教員の活動実践の支援、4)ユネスコスクールの地域間交流の支援などがあります。

ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)

玉川大学教育学部は、ユネスコスクール加盟校およびユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)加盟校として、町田市、多摩市、稲城市、横浜市、川崎市など近隣の地方自治体の小中高校や教育委員会、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、ESD活動支援センター等と連携しながら、SDGsの目標達成に向けたESD(持続可能な開発のための教育)およびGCED(地球市民教育)の視点を軸にしたユネスコの価値教育を推進するため、首都圏におけるユネスコスクール地域ネットワークの構築と拡充を目指しています。

3.ユネスコスクールとしてのおもな活動

3.1 日本/ユネスコパートナーシップ事業による「ユネスコスクール研修会」

玉川大学教育学部は文部科学省の委託事業「日本/ユネスコ パートナーシップ事業」により、2009年度から毎年、首都圏のユネスコスクールおよび加盟申請校を主な対象とした「ユネスコスクール研修会」を開催してきました。また神奈川県でユネスコスクール事業が活発化していることを受け、玉川大学教育学部は神奈川県ユネスコスクール連絡協議会の一員として、2018年12月15日に「第4回ユネスコスクール神奈川県大会」を開催しました。アジアから初のユネスコ事務局長に選出された松浦晃一郎先生(第8代ユネスコ事務局長)による基調講演をはじめ、ESD(持続可能な開発のための教育)およびGCED(地球市民教育)の領域で先導的な教育実践を行っている先生方によるパネル・シンポジウム、神奈川県のユネスコスクール加盟校の実践報告、SDGsカードゲームのワークショップなど多彩な内容でした。このイベントを通じ、神奈川県のユネスコスクール地域ネットワークが一層強化され、SDGs(持続可能な開発目標)が提示する教育課題に向けてユネスコスクールが果たし得る役割について議論を深めることができました。

第4回ユネスコスクール神奈川県大会(2018年12月15日)

3.2 日本/ユネスコパートナーシップ事業による「ユネスコスクール関東ブロック大会」

ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)の大学間連携と協同の成果の一端として玉川大学は首都圏に位置する他のASPUnivNet加盟大学(東海大学、創価大学、成蹊大学)、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)および神奈川県ユネスコスクール連絡協議会と連携し、2019年10月5日(土)に「ユネスコスクール関東ブロック大会」を開催しました。

「SDGs達成に向けたユネスコスクールと地域の連携」を基調テーマにした「ユネスコスクール関東ブロック大会」には100名を超える参加者が集い、地域社会におけるユネスコスクールのあり方について議論を深めました。基調講演には、韓国ソウルにあるユネスコ・アジア太平洋国際理解教育センター(APCEIU)のイム・ヒョンムク(林賢黙)所長が登壇され、日韓のユネスコスクール国際連携の進展に向けてよいきっかけを作ることができました。4大学およびACCUはそれぞれの得意分野を生かした分科会を開催しましたが、玉川大学は「地球市民教育(GCED)とユネスコスクール海外連携- アジア太平洋地域のユネスコスクールとの連携を視野に」をテーマにした分科会を実施し、新しい市民像の育成に向けたユネスコスクールの役割について実りある議論を行いました。

ユネスコスクール関東ブロック大会(2019年10月5日)

3.3 ESD実践学習プログラム

玉川大学教育学部は卒業生の大半が学校教員になることから、学校現場でESD/SDGsを効果的に教えることのできる教師力の育成を目標に掲げ、学部等改革推進制度として2017年度に「ESD実践学習プログラム」を実施しました。年間を通じ、ESD研修セミナー、国連広報センター訪問、ESD活動支援センター訪問、JICA地球ひろばでの訪問学習、近隣の小学校でのボランティア活動、伊勢志摩地域への自然文化体験スタディツアーなどを行いました。このスタディツアーに基づき、参加学生は小学校現場で使うことのできるESDワークシート教材を作成し、持続可能な社会の担い手を育成する教師のESD指導スキルの向上に努めました。

担当教員:小林 亮、寺本 潔
スーパーヴァイザー:小原 一仁、川崎 登志喜

「ESD実践学習プログラム」報告書表紙(2017年度)

3.4 ESD共同研究「大学生のためのESDワークブック」

このESD実践学習プログラムの成果を生かし、2018年度に教育学部の共同研究プロジェクトとして「高等教育におけるESD指導に向けた教材開発の試み」を実施しました。この共同プロジェクトでは、ESDに関して身につけるべき資質・能力の学習領域として、①防災教育、②環境教育、③観光教育、④人権教育、⑤国際理解教育、⑥伝統文化教育の6分野に焦点を当てました。ESDに取り組んでいる地域や組織への現地視察を通じて、各領域におけるESD研究・実践に関する最先端の知見を取り入れ、教育学部の学生のための学部授業での教材として、さらに教育学部の学生が卒業後、学校現場の授業で活用できる教材として、ESDワークシート集「大学生のためのESDワークブック」を作成しました。

担当教員:小林 亮、寺本 潔、中村 香

「大学生のためのESDワークブック」報告書表紙(2018年度)

3.5 SDGs教師教育実践プログラム

この2つのESDプログラムの成果をふまえながら、2020年度に玉川大学教育学部は「SDGs目標達成に向けた地球市民性の育成をめざす教師教育実践プログラム」を教員養成プログラムとして実施しています。また今後は教育学部のカリキュラムの中にESD/SDGsの指導法に焦点を当てた科目を単位化する形で導入していく計画を進めています。

担当教員:小林 亮、寺本 潔、中村 香、山田 深雪

3.6 玉川大学ユネスコクラブの活動

大学公認の文化会ユネスコクラブは「持続可能な社会づくりのために大学生ができること」をテーマにした課外活動を展開しています。日本ユネスコ協会連盟の構成団体として、奈良教育大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、広島大学、福山市立大学、京都外国語大学など他大学のユネスコクラブとの交流も積極的に進め、ユネスコクラブの全国的ネットワーク構築に向け4回の「ユネスコクラブ全国サミット」(2013年、2015年、2016年、2017年)を玉川大学で開催しました。また国内・海外のスタディツアーを通じ、国内外のユネスコスクールとの交流を推進しています。2018年度には町田市の小学校3校(小山田小学校、町田第五小学校、南大谷小学校)にて、まちだ・さがみユネスコ協会と共催で「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」を開催しました。また2018年度より町田市立南大谷小学校にて、文化の多様性および水問題をテーマに総合学習での出張授業を行い、SDGs目標達成に向けた教育支援によるユネスコ活動の可能性を追求しています。

玉川大学ユネスコクラブ部員学生による町田市立南大谷小学校でのSDGs授業

お問い合わせ

eメール:unesco_aspnet@tamagawa.ac.jp

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8111(代表)

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