研究室ガイド

臨床心理学ゼミ:「東日本大震災から学ぶ―宮城県石巻市立大川小学校のお話―」原田ゼミ特別講演会を開催しました!

2024.12.09

11月21日に特別講演会「東日本大震災から学ぶ―宮城県石巻市立大川小学校のお話―」を行いました。大川小学校に通学していた児童のご遺族であり、原告団長でもある今野浩行さん、ひとみさんご夫妻に登壇いただきました。裁判に至った経緯や保護者としての想いを伺い、学生の質問にもお答えいただきました。上映会と同様に原田ゼミ以外にも多くの学生が参加し、大川小学校での事件を繰り返さないために何ができるか、そして人としての在り方について改めて考えました。そして子どもの命を預かる教員としての防災意識を高めました。その後学食で、ご一緒に昼食をいただきました。

浩行さんは、時に冗談を交え、学生の気持ちを惹きつけながらお話しくださいました。大川小学校の概要や裁判の経緯について写真をもとに話してくださいました。大川小学校よりも海や川に近い立地で死者の出ていない学校もあり、「何故大川(小学校)だけがこんなことになったのか疑問に思うのは自然なことだった」とおっしゃっていました。事故後の学校や教育委員会、検証委員会では真実は明かされず、むしろ隠蔽をされ、時効直前に遺族団として裁判を起こすことになってしまったこと、裁判の準備のためのご苦労、裁判の判決について解説してくださいました。「学校内でPDCAサイクルを繰り返し、安全性に限らず防災の精度を上げていく必要がある」と学生に説明してくださいました。

ひとみさんからは、保護者、ご遺族のお立場から想いをお話しいただきました。大川小学校に通学していた息子さんの「山に逃げよう」という声が教員に届かなかった事実から、子どもの声にもきちんと耳を傾ける教員になってほしい、「“大人は子どもの話に耳を傾けない”と、子どもが思わないように、大人は子どもに対しても一人の人間として向き合ってほしい」と強く訴えられていました。

また、大川小学校では震災後の心のケアが適切に行われなかったために、今でも心の傷を抱えている被災者の方がいらっしゃることを受けて、「トラウマや心の傷について勉強して、話を聴いてほしい」とお話しされていました。

今回、東日本大震災、特に学校における津波被害について、教育者を目指す立場から改めて考えることができました。ハザードマップなどを盲目的に信じるのではなく自分の住む地域について知ること、そして児童、保護者、地域の方と協力をし、“学校を安全な場所”にしていくこと、の重要さを再認識し、今一度子どもの命を預かる責任を重く受け止めなければならないと思いました。「学校が子どもたちの命の最期の場所になってはならない」。この言葉を胸に、風化していく震災の記憶を受け継ぎ、このような事件を繰り返さぬよう努めてまいります。


(臨床心理学ゼミ:4年 須田萌伽・齊藤優美)

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8111(代表)

玉川大学入試ナビ

ページトップへ