臨床心理学ゼミ:ゼミ合宿2日目その②
〜「東日本大震災・原子力災害伝承館」・「請戸小学校」を訪問しました~
2026.09.16
ゼミ合宿2日目の午後には、福島県双葉郡双葉町にある「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪問しました。ここでは、震災による原発事故前後の人々の暮らしの変化を伝えるとともに、震災の記憶と防災・減災の教訓を未来へとつなぐ展示が行われています。
館内には、震災当時の時刻で止まったままの時計や、津波によって流された児童のランドセルの実物展示などのほか、事故当時の実際の映像や音声、緊迫した状況を示す記録が残されていました。地震や原子力災害により日常が突然奪われ、苦しい避難生活や風評被害に直面した人々の苦悩と深い悲しみが胸に迫りました。特に印象に残った展示は、被災した人々の写真とそこに添えられた解説です。宮城県石巻市立大川小学校の法要で小さく手を合わせる男の子や、がれきの中で我が子の安否を心配して立ち尽くす母親の姿など、被災した方々の数々の写真から、奪われた日常の重さとご家族の切ない思いが心に深く刻まれました。
将来教師を目指している私たちは、震災の出来事を他人事とせず、正しい知識を子どもたちに伝えていく責任があると考えます。子どもたちが自ら、防災・減災について考え、自然災害と向き合っていけるよう、震災の記憶や教訓をつないでいくことの大切さを改めて感じました。
また、震災遺構である福島県浪江町立請戸小学校も訪問しました。請戸小学校は、東日本大震災によって発生した大津波の被害を受けた小学校でありながら、児童と教職員が全員無事に避難することができた学校として知られています。当時、大津波は校舎2階の床上10センチまで到達しており、特に被害の大きかった1階部分は、震災当時の状態を残したまま保存されています。実際に校舎の中に入り見学すると、壁が大きく損壊し、床が歪み、分厚い鉄製の金庫までもが吹き飛ばされている様子が残されていました。写真や映像だけでは想像することのできない津波の威力と恐ろしさを、実際にその場に立つことで強く感じることができました。
さらに、当時、請戸小学校の児童と教職員が避難した場所である大平山にも行ってみました。大平山は請戸小学校から約1.5km離れた場所にあり、実際に請戸小学校から大平山を目にすると、数字から想像していた以上に距離があるように感じました。そのような場所まで、児童と教職員が迅速に避難し、多くの命を守ることができたことを実感しました。実際に現地を訪れたからこそ、当時の状況や避難の大変さ、そして迅速かつ適切な判断の重要性を、身をもって感じることができました。
学校という場所、そして先生という立場が災害時に子どもたちの命を守る重要な役割を担っていることを改めて実感することができた経験となりました。
夜には石巻市に移動し、震災でご家族を亡くされた今野浩行さん・ひとみさんご夫妻、佐藤美広さん・とも子さんご夫妻、原告代理人の吉岡和弘先生、そしてご遺族でもあり生き残った只野哲也さんのお父様でもある只野英昭さんから、それぞれの思いをお伺いし、力強いメッセージをいただきました。
皆さんのお話を通じて、教師という職業がいかに責任のあるものであるか、また、「命を守る」とはどういうことなのか、改めて深く考える機会となりました。中でも、「子どもたちの夢を守ることのできる教師に」というお言葉が胸に強く残っています。「子どもたちの命を守る」ということは、その尊い未来や夢を守ることに他ならないのだと実感しました。そうしたかけがえのない未来を預かる責任があるからこそ、子どもの命はもちろん、教師自身が自分の命を守ることも不可欠であると学ばせていただきました。
そして、大川小学校のように多くの児童・教職員の命が失われた出来事を決して風化させず、「自分だったらどのようにするか」ということを問い続けていかなければならないと強く感じています。今回お話いただいたことを胸に刻み、将来自分が立つ教育の現場で、防災教育の推進にも力を尽くしていきたいです。
この度、貴重なお話をお聞かせいただき、私たちに多くの学びの場を与えてくださったことに、心より感謝申し上げます。
(臨床心理学ゼミ 3年 高崎結衣・太田椋)




