研究のキーワード
パーソナルデータ
パーソナルAI
ビッグデータ
サービス情報学
分散管理
認知症情報学
学習支援
UX

研究テーマ

DX(デジタルトランスフォーメーション)時代を生きる私たちの身の回りには、便利で豊かな暮らしを実現するための多様なサービスやアプリケーション、システムが存在します。これらの基盤にはビッグデータを利用したAIやIoT(モノのインターネット)機器、クラウドコンピューティング技術があり、周辺技術の研究開発がますます進んでいます。特に近年のICT(情報通信技術)の進展によって、多様で大量のパーソナルデータ(個人に関する情報)を柔軟に扱えるようになったことから、利用者ごとにカスタマイズされたパーソナライズドサービスなど、「個人最適化」が注目されています。個人最適化で扱うパーソナルデータは機微(センシティブ)な情報のため、セキュリティやプライバシーに配慮したセキュアな環境が望まれます。制度において、日本では改正された個人情報保護法、欧州ではEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)などが制定されていますが、社会実装の観点からどのようにパーソナルデータを管理および利活用するかが大きな社会的かつ技術的課題です。

パーソナルデータの管理方法は、大きく分けると集中管理と分散管理があります。集中管理は事業者が管理し、分散管理は本人が管理する仕組みです。分散管理は、本人同意だけでパーソナルデータを扱える点や、各個人のパーソナルデータが本人に集約(名寄せ)されることで価値が高まることから個人最適化型支援サービスに適した管理方法です。

私たちの研究室ではパーソナルデータの分散管理技術に基づく個人最適化型支援サービスの研究開発および現場での実証評価、そして各個人に専属しパーソナルデータの管理を代行するパーソナルAI(PAI)に関する研究開発に取り組んでいます。

研究室活動

教育分野では学習データ管理や学習支援、介護・看護・医療分野ではオンライン見守り支援や認知症ケアの多職種連携支援、エンターテインメント分野では個人に最適化した情報推薦や音楽の新たなUX(ユーザ・エクスペリエンス)に関する研究開発に取り組んでいます。

個人最適化に関する研究開発を進める上で、本人の経験や気づきに基づいた独創的な着想は大切と考えています。そのようなアイデアを昇華できるようになるためには、ソフトウェアサイエンス分野の専門知識や能力、そして学際的知識や学問的な教養を身につける必要があるでしょう。研究室活動を通して、これからの社会で求められる経験を積み、多様な人との交流を経ながら学修することで、将来の世界をリードする一人として自己実現に向けた道を切り開いていくことを期待します。